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はっきり言って日記じゃないが、ブレイブルーのノエルたその為!
とか言ってはっつけてみる。
・・・・・・。PSPにこのムービー入れたいんだが。



【2008/11/16 19:10】 | 日記 トラックバック(0) |
最終話と六月編載せといて後からお五月のおまけ編載せるなんていい度胸しているじゃねーか鳴草です。

別にこれ見ても特とか損とかないと思うけどゆっくり見てってくれ。



・それぞれのキャラのイメージ
桃太郎…姿は極めてTOTのティルキス王子イメージです。性格もティルキス様を下ネタ思考にさせたような感じ。とにかく腐男子というものに挑戦したかっただけ。反省はしていない。
「ピコハンが武器ってまた面白いね」ってよく言われますが、みえるひとのガクだってピコハン(からハンマーになる)ですし、テイルズシリーズじゃピコハンは立派な技ですし、他にも調べればもっと出るだろうので、面白いって感じはしませんね。ただ、作者が立ち寄ったスーパーのおもちゃ売り場にたまたま売っていた巨大ピコハンを有効活用したかっただけです。買ってないけど。ちなみに彼は両利きです。

和双…担当オリキャラ「ファブル」をイメージしたわけじゃないが、描いたイラスト的にもう性格もファブルっぽくすればいいって思ってたのかもしれない。反省はしていない。
数少ないフトモモ信者だから問題ないかと(なんの問題だよ)。結構いじりやすいキャラです。ちなみに本文じゃあやふやで皆さんに伝わってないと思うので補足。和双君のエネルギーは太陽光です。流行りのエコですね。
「ハッピーターンの粉もおk」と今作で言ってましたが、正確には「初めて手を差し伸べてくれた桃太郎が最初にくれた物がキビダンゴならぬハッピーターンの粉で、それを見ると火事場の馬鹿力ならぬ桃太郎への忠義心パワーで回復する」って訳です。長いな。

申丸…桃太郎を信用していないとかツッコミ役ってのは初めから確定していた。見た目がTOLのセネルに似ていたからか、性格は同声優キャラガンダム種デスのシン=アスカ風になっている。種デス一話も見てないけど。
戦闘スタイルが格闘ってのもセネルなのかもしれない。しれないったらしれない。
彼が何故この桃太郎を桃太郎らしくしようと頑張っているかはそのうち明らかになると思います。ん、なにやら大事なフラグっぽいぞw

明崎ノ介…フトモモメンバーの中で一番イメージが苦戦したキャラ。姿も性格も。姿に至っては3回転生してようやく4回目で納得がいったキャラ。
英語が苦手な作者にとってキジさんはある意味いい挑戦。ルー大柴さんを参考にしたというよりディス3の濃厚なマオに惚れただけです(*´ω`)
ウラタロスならぬ空気キャラとして存在していてほしいキャラ第1位。本人も「自分は微妙なキャラ」とか思ってる。
某友人からの提案で、動物嫌いな性格予定中。人前じゃ動物嫌ってても一人になると野良犬の頭をなでてたりとかしてたら萌え(´∀`*)

ウンタラ&カンタラ…ポケモンのロケット団ムサシとコジロウ的なキャラが欲しかっただけです。何度も立ちふさがる憎めない悪役コンビって言うベタな設定が欲しくて飢えていただけです。「ハニー」とか「ダーリン」って言うようにバカップルにしたかったのはフトモモを考える前からやりたかったネタ。でも何かテイルズのなりダン3のボニーとクライトみたいでちょっとムサシ&コジロウ風にはなれなかったですねorz
未だにウンタラの口調がまとまってないのも悩みorzorz



・楽しいこの小説のキャラ名の覚え方。

桃太郎
説明する必要なし。


和双
この名をつけた理由がなんとなく頭の中で「『ワソウ』っていい響きじゃん」って思ったから。
そもそもこの和双君は戦国バサラの濃姫のような和服を着ているので、『和装』と覚えればオヤジギャグ的に覚えられるかもしれない。
ちなみに作品上では「和双」という名をつけたのは桃太郎。
・犬=大人しい=和双


明崎ノ介
一番覚えづらい。過去の鳴草の作品に「清ノ助」っていう名前のキャラいたんだけど、「〜ノ介」っていうのもいいかな?と思って「明崎ノ介」になった。
ちなみに「あかざき」じゃなくて「あかさき」である。
何か何処にでも居そうな苗字の名前がいいと思って「あかさき」になって、それプラス先述の「〜ノ介」になったとされる。
基本的に作者のネーミングセンスは酷すぎるので文句は無しにしてくれ。
・キジ=ケーンって鳴く=ケーン=剣=剣(刀)を使う明崎ノ介


申丸
犬もキジも「犬(キジ)らしい名前」じゃないことに焦った鳴草は「猿」に他の読み方が無いだろうかと探した。
その結果「ましら」という呼び方があることが判明し、本来「ましら」という読み仮名がない「申(さる)」の名を借りて、それプラスガキのようn…エフンエフン、なんとなく作者がよくオリキャラの名前に使う「〜丸」を合体させて「申丸」になった。
・ツッコミ役世話焼きヤンキー=申丸



桃「さあ今回もやってまいりました!パラレルワールド編!」
猿「パラレルワールドだったのかよ!前回は作者の思いつきで偶然出来たんだろ!?」
桃「なんか作者曰く『折角だからこっちも頑張りたい』とか言ってるんだよ。変なルール作って自分を縛るのが趣味だから、アノヒト」
猿「その言い方だとただの変態だな。で、今回はどんな事になるんだ?」
桃「そもそもこのパラレル編は本編と同じ『月』をテーマにするつもりだから『五月』がテーマだな」
猿「本編は竹の子が出てきたぐらいで、他に五月らしいこと無いよな」
桃「というわけで今回はゴールデンウィークをテーマに!」
猿「卓上旅行でもするのか?」
桃「いや、オレらしく『おすすめエロゲー』の紹介とか『コミケの感想』とか…」
猿「ばっしこーん(殴る音」
桃「じゃ…じゃあ昨日から作者が始めた、更にもう一つの『パラレルオレ達』の紹介で勘弁!」
猿「作者……、まだ俺達のパラレルでも作る気があるのか…。呆れを通り越して死にたい。……学園モノか何かか?」
桃「あ、学園モノって言うのもあったか…。残念ながら違うが。……これだ」

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猿「……。これ、ただのオンラインゲームだよな」
桃「おうよ。職業と名前を決めて冒険に出かけるいたってどこにでもあるゲームだ」
猿「RPGツクールとかならまだしも、なんて期待ハズレな……orz」
桃「作者はいつも予想の斜め上を抉っているからな!」
猿「で、これでどういう話題を?何かつまらなさそうだけど」
桃「いや、ここの凄いところは戦闘シーンの描写なんだよ。マウスを動かして戦うやつでも、コマンド入力をして戦うやつでもない上に、画像があるのはキャラクターと戦闘の背景のみだ。後は皆文字」
猿「つまり、技のエフェクトとかがないんだな。ますますつまらなさそうな……」
桃「とりあえずオレらが実際に戦っているシーンを抜き取ってみた。見てくれ」
猿「どれどれ」

 明崎ノ介の闇カラス召喚!
 叙事詩に残る一撃!
 戦士Aの心臓を一突きし、背を向ける。 167のダメージ。
 戦士Aは死亡した。 exp+1

 和双の斬肉刀!
 凶骨Bは額を切り裂かれ、目に血が流れ込む。 129のダメージ。
 凶骨Bは死亡した。 exp+1

 申丸の剛旋空脚!
 ..フレッグAは攻撃をかわした!
 ..フレッグAに追撃!
 ..フレッグAは攻撃をかわした!

 凶骨Aの骨の槍!
 ..超勇者ハナの足をつらぬき、年季の違いを語る。 81のダメージ。
 ..超勇者ハナの残りHP:118。
 
 フトモモの硝子の剣!
 叙事詩に残る一撃!
 凶骨Aの肋骨を砕く。片方の肺に折れた骨が食い込み、破けてしまう。 261のダメージ。
 凶骨Aは死亡した。 exp+1

 ..超勇者ハナのフリーズブレス!
 クリーデンプリーストAの太ももに鈍く突き刺さる。 148のダメージ。
 クリーデンプリーストAは死亡した。 exp+1
 ..オ’ヴァロムBの胸部をかすめる。 116のダメージ。
 ..オ’ヴァロムBは死亡した。 exp+1
 ..オ’ヴァロムAの攻撃を受け流し、カウンターを決める。 120のダメージ。
 ..オ’ヴァロムAは死亡した。 exp+1


猿「ツッコミどころ多っ!なんだこの凄まじい描写はっ!英語ヤローがカラス召喚するのもともかく、俺命中率低っっ!後、超勇者ハナって誰!?(ここ重要」
桃「超勇者ハナの攻撃が『太もも』に当たった件についてはスルーなのな。まぁ超勇者ハナは気にするな。伝説の凄腕変人女王だから」
猿「よく分からない二つ名だな、オイ!超勇者なら変人とかそういう呼び方しちゃ駄目だろ!」
桃「ちなみに某人は『超勇者』って付くなら『超勇者オーラム』にしろよとか言ったけど、作者的には『超勇者ハルヒ』の方が印象に残ってるらしいぞ」
猿「ダブルゲームネタは読者を混乱させるだけだぞ!」
桃「いや、別にそんなことを今更気にしてたらオレ達オワタだぞ」
猿「少なくとも俺はパロネタ少なめだと思うがな。俺は」
桃「まぁとにかく、このカオスゲームに興味があるなら是非ともプレイしたらいいんじゃねぇの?見たいな感じだ。残念ながら他の人とのチームバトルプレイはできないが、チャットっぽい掲示板とか、自分のキャラのレベル以内でなら他の人のキャラを仲間にすることが可能だしな。解雇しなきゃいけないんだけどな。あと、1チーム5人のメンバーだから好きなだけ考えてくれ。ミカンメンバーでやるとか。ちなみに最後にオレ等の(7月23日現在の)ステータスも載せておくから参考にしてくれ」
猿「うわ、何だコレ!『フトモモの硝子の剣!凶骨Dに別れの言葉を呟き、脇腹を真っ二つにする。』って!お前 いつからそんなかっこつけキャラになった!うわ、銃撃食らって『フトモモは胃袋に命中を受け、激痛でうずくまる』ってなった!痛そうだなぁ…。『申丸のボディに炸裂。2m吹き飛び、転がり落ちる』ってもっと痛そう俺!」
桃「うるさいぞ中二病!パソコンの前ではしゃぐな。どこのドイツ製ボーカロイドやねん!」
猿「あ、『クレオステウスAのかじりつく!和双の着衣をちぎり取る。』」
桃「マジで!?くそぅ羨ましいっ!」
猿「まぁふざけるのもこのくらいにして……。じゃあ、第三話『フトモモと六月』でまた会おう。じゃあな」
なあこれも五月じゃなくね?じゃあ毎年作者がGWに行く某市のお祭りにでも逝くか?いや遠慮しておく。

〜約束のステータス〜

和双
レベル30
hp : 152/152
礼節の人 で 世話好き
素早さ 52
感情 54
精神 50
肉体 54
連発式マスケット 【遠隔】38ダメージ、2回攻撃
カリギュラ残悔剣 【近接】106ダメージ
カラミティエッジ 【近接】60ダメージ、hp吸収
煙突爆弾 【遠隔】敵全員に114ダメージ
リステル注射器(回復) 味方1人のhpを105回復
蛇皮の鞭 【近接】51ダメージ、手加減

----------------------------------------

申丸
レベル30
hp : 152/152
一匹狼 で 努力の人
素早さ 50
感情 56
精神 50
肉体 54
荒波剛拳 【近接】力強く振りかぶり、64ダメージ
剛炎旋空脚 【近接】34ダメージ、6回攻撃
波動剛拳 【遠隔】117ダメージ
サベージリフト 【近接】90ダメージ、感情半減3
旋空カウンター 敵の攻撃に反撃し、【近接】105ダメージ

--------------------------------------------

明崎ノ介
レベル30
hp : 152/152
大胆不敵 で マイペース
素早さ 50
感情 56
精神 50
肉体 54
グラディウス 【近接】197ダメージ。ただし、自分に硬直2
群生イナゴ召喚 【遠隔】92ダメージ、傷痕3。ただし、自分に硬直2
ウインター・コール 【遠隔】敵全員に117ダメージ。ただし、自分に硬直2
ブレードダンス 【近接】78ダメージ、4回攻撃。ただし、自分に硬直2
恍惚の祈り(回復) 味方全員のhpを132回復。ただし、自分に硬直2

-----------------------------------------------------

フトモモ
レベル30
hp : 152/152
リーダー的 で 快楽主義者
素早さ 48
感情 50
精神 62
肉体 50
硝子の剣 【近接】69ダメージ
ギルティアーク 【遠隔】敵全員に87ダメージ
エリキシル=ロウ(回復) 味方全員のhpを121回復
獣の歌 味方全員の感情+肉体倍増3
幼な姫の瑠璃瓶(回復) 味方全員のhpを3回復
フェアリィホール(回復) 罠2、味方全員のhpを154回復

--------------------------------------------

超勇者ハナ
レベル32
hp : 151/151
頑固者 で 純粋
素早さ 46
感情 60
精神 66
肉体 60
ライトニング 【遠隔】84ダメージ
ブラックソード 【遠隔】95ダメージ、フィニッシュ
ヴェノムフィギュア 【遠隔】72ダメージ、猛毒3
ディープミスト 敵全員に濃霧3
ヘルファイア 【遠隔】敵全員に113ダメージ
インゴヴェイト(回復) 味方1人のhpを160回復。ただし、ショック死することがある
ストロングウェブ 【遠隔】71ダメージ、硬直2


猿「超勇者ハナのインゴヴェイトを食らいたくない人『ノ』してくれ。普通に怖えーYO!何だよショック死って!」


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【2008/11/12 11:10】 | フトモモと五月(小説) トラックバック(0) |
六月編のはじめに言ったとおり、しばらく休むので最終話まで一挙公開。

はっきりいって微妙な終わり方するので見ないほうがいいのかもしれない。

それでも見るならごゆっくりどうぞ。



 〜フトモモと最終月〜

「どうした申丸。えらくテンションが低いが…。いつも通りテンション上げていかないとヤりがいがねぇじゃんかよぉ」
桃太郎は雨雲を見つめながら自分を見下ろしている申丸に言った。
それに対して申丸はカッパのフードをしっかりと被ったまま何も言わない。
「おいおい、ついにオレの事が嫌いになっちゃってスルースキルゲットしちゃったのか?」
それでも申丸はしばらく反応しなかった。
そして、囁いた。

「死んでくれ、『桃太郎』」

いきなり桃太郎の頭があった場所に申丸の拳が振り下ろされ、地面に亀裂が走る。
桃太郎は横に転がり避け、立ち上がろうとする。
が、申丸の拳が桃太郎の頭上で唸る音がして立ち上がるのを止め、申丸を足払いしようとする。
「くっ!」
バランスが崩れ、後ろに倒れる体制となった申丸を桃太郎が立ち掴む。
そこまでの時間は十秒も経たない。
「おうおうおう申丸ちゃんよ、ついにツンデレからヤンデレに変化しましたか。何?オレの腹の中に子供でもいるとか思った?あ、それオレが受けになる」
一人ノリツッコミをしても申丸はフードで表情を隠したまま拳を握り締める。
「鬼を退治したからにはアンタは立派な桃太郎だ。だから殺す」
そう言ったと同時に申丸は距離を詰めて怒涛のラッシュをかける。
桃太郎はピコハンを盾にして防ぎながら問う。
「矛盾してない?オレを立派な桃太郎にさせようと一番頑張ったのはアンタじゃん。なのに殺すってどういうことなのよ?」
拳とピコハンがぴたりと突き合い、動きが止まる。
「もしかして、やっぱりオレの事気に食わなかった?」
「……」
「リンゴちゃんとイチャついてた事にヤキモチ焼いちゃった?」
「……喋るな」
「もしかしてレベル5に突入しちゃった?」
「これ以上喋るなぁぁあっ!!」
申丸は体をひねり、ピコハンの突きをかわすと隙の出来た桃太郎に渾身の鉄拳を振る。
「うっは!」
桃太郎は軽く宙を飛び、受身を取って着地する。殴られた頭から血が流れ出る。
それを見て申丸は更に雄叫びを上げ、桃太郎に殴りかかろうとする。
「これ以上…俺に話しかけるな!」
桃太郎の胸に拳が当たる。何かが折れる嫌な感触がした。
「これ以上ふざけた態度をとるな!」
今度は頬を殴る。桃太郎はそのまま横に倒れる。
「これ以上………これ以上俺になれなれしく話するなっ……!」
その声はいつの間にか震えていて、先ほどの威圧感がない。
それを心配して桃太郎は横になったままふっと笑う。
「…反抗期な態度取りやがって。抵抗する奴ほど襲い甲斐があるって知らなかったっけ?」
「……っ!何でいつもみたいに変態なことしか言わないんだよ。それがお前の狙いなのか?あ゛あっ!?」
涙声になっているというのに相手を怯えさせるような脅し声をあげる。
カッパを着ているのに顔はぐしょぐしょである。
桃太郎は痛みをこらえながらゆっくり起き上がった。
「オレは逆に言い返したい。申丸の狙いは何だ?れいぷっぷ?」
申丸は少し黙り込み、桃太郎の胸に向かって蹴った。
「あがっ!」
先ほどの攻撃で骨が折れたところを蹴られたので桃太郎は少し声を上げてしまったが、痛みをこらえて笑顔を作る。
気に食わない事をされて神経逆撫で状態の申丸はカッパをおもっきり脱いで踏みつけた。
申丸の髪はいつものようにボサボサだったはずが、雨に打たれてぐっしょりとしていた。
その金色の髪の間から見えるのは尖った黄色い出来物。

そう、鬼の角が二本生えていた。

「俺はお前達桃太郎の憎むべき鬼だ。そして俺の目的は『桃太郎』の魂……命をもらうことだ」
「今まで髪を濡らす事を避けていたのは、その証を見せないためだったのね…。そしてお前は、鬼族から来た暗殺者ってわけだ」
そう言って桃太郎は大きく息を吸い、吐きながら立ち上がった。その右手にはピコハン。
「暗殺者って言えばそうかもしれないが、俺はある人物の為に桃太郎の命を必要としている。一つでもあれば十分だ」
「じゃあ何でオレを狙った?一番殺しやすそうだったから?」
申丸は俯き、違うと呟く。
「確かに、鬼を倒せない桃太郎ってのは殺しやすそうだと思った。でも、お前にスカウトされた瞬間後悔したよ。『コイツは一番殺しにくそうだ』って。……分かるか?」
「いんや?全然?」
その反応はいつもの申丸なら怒ってツッコミレーザーを放っていたかもしれない。
だが、真剣一直線な彼は素直に答えた。
「お前のその態度が、変態さが、…優しさが、愛おしくなってしまいそうだったんだよ!」


〜〜〜〜〜〜

「……くそう。あの桃太郎は金目的のためだけに戦ってたのかよ。意地悪ぃ」
とある日、一人の金髪の少年は町のベンチで大股開いてため息をついた。
ここは桃太郎になるための役所。通称桃の川。
取ってきた角を渡しに行くのもここへ、桃太郎になりたいという人もここへ来る桃太郎のための建物だ。
建物の前にある桃型のベンチで申丸は自分の目的を果たせそうな桃太郎を探していた。
が、どうしても自分の性か、正義感あふれる桃太郎にしかつかないとか我ながらアホな気持ちが肝心な目的を邪魔するので、ターゲットはいても噛み合うものは未だに見つからなかった。
仕方がない、次に出遭った桃太郎が駄目ならその次に出合った桃太郎を殺すとするか。
そう覚悟を決め、目の前を通る桃太郎に目を合わせる(ガンつける)。
体格はひょろりとしていてビン底メガネにリーマンスーツという変わった姿の桃太郎だった。
ええい、外見がショボくてもいい奴かもしれないじゃないか!と自分に言い聞かせ、引きつった笑顔で話しかける。
「あのぉ、もしよかったら鬼退治協力させてください…。俺、怪力なので鬼と対抗できますよ?」
するとサラリーマン桃太郎はビン底メガネの下から鷹のような目つきで
「一退治五万四千円」
そう言った。
「はい?」
申丸は更に笑顔を引きつらせる。
サラリーマン桃太郎は分厚いビン底メガネをクイッと指で直すと、そろばんを用意し始めた。
「私の鬼退治の回数は一ヶ月に約六回。それを一年として考えると五万四千×三×十二で三百八十八万八千円。それで考えよう」
笑顔の上に井桁マークを浮かべ、念のため申丸は問う。
「その、…考えるとは?」
「私の下僕にしてやる代金だ」
頭の堪忍袋と血管がブチ切れた。
「てめぇ、桃太郎のお供の存在を何だと思ってるんじゃあぁぁぁい!!今ぶっ殺す!やっぱぶっ殺す!例えここが桃の川だとして……も゛っ!!」
サラリーマン桃太郎の片手で胸倉を掴み、もう片方の手で顔をぼこぼこにしてやんよにしようと思ったが、ピコッという音がして申丸は振り向く。
「何するんだ!ふざけやがって!」
掴んでいた桃太郎をポイッと青空の彼方へ投げ捨てると喧嘩を売ってきた?奴を睨み付ける。目と目の距離は石ころ一つ分。
「何って……。スカウト」
金色の穏やかな瞳の持ち主はが睨み付けられているのにも関わらず、あっさりと答えた。
「でもまぁその前に……ほーいっと!」
そいつはピコハンを掛け声と共に大きく振りサラリーマン桃太郎の顔面を狙い、遠くへと吹き飛ばした。
「ちょっと気に食わないね、あの桃太郎は。そりゃ誰もお供にならないはずだよな」
ぽんぽんとピコハンを手で叩きながらサラリーマン桃太郎が飛んでいった青空を見上げた後、ずずずいっと申丸の顔に接近する、金色の瞳の男。
いきなりの事にビックリして睨み付けたまま動けなくなった申丸を無視してその金色の瞳の男は頬を赤らめる。
「……積極的な上に、(ケンカっ)早い。常にツンツンしつつも金というロープに縛られず、正義と言うの桃を求めるデレ……か。エロいよ」
「!!!」
何だこのフォモは!変態発言しているくせに俺のことを的確に当てている!
しかもスカウトだと?こんな変態に付いていったらこっちまで頭がおかしくなりそうだ!
「桃太郎さーん。今月の『乳的美人vol.8』は売り切れてましたー」
「そうか…」
もう頭おかしくなってる奴がいるぅぅぅ!大丈夫くないぞ、あの唐傘野郎!
そしてそこで凹むな変態桃太郎!
「モモタロー!さっきモモタローに言われてきた道歩いていったら、大人のナイスボォディなお姉さんが後で一緒に来てね(はぁと)だってサ!」
「了解。こいつをゲットしたら行こうか(はぁと」
もう一人頭アホそうな子供も連れているだとぉぉぉ!
何子供にピンクロード歩かせてるんだこの桃太郎は!
……って俺をマジでスカウトするつもりか!ひぃぃぃぃ。
「で、オレの所来てくれるの?はい?いいえ?キャンセル?」
何でパソコン風の選択肢なんだ。
「いや、その……遠慮しておきま………いっ!」
急に変態桃太郎が申丸の額に手を当てたので驚き焦る。
「な、何すんだよっ!」
慌てて後ろに飛びのき、頭の角に気づかれていないか変態桃太郎の様子を探る。
変態桃太郎は目をぱちくりとさせて、
「いや、頭から血が流れてたから拭いてあげようと」
先ほど額に当てた手にはハンカチが。
何故自分の頭から血が流れてるんだ?と申丸は考え、そして先ほどサラリーマン桃太郎にブチ切れた時に血が噴出したのだと悟った。
「このまま血流れっぱなしじゃ危ないっしょ?今水でハンカチ濡らしてくるわ」
そういって変態桃太郎は建物の近くの噴水へと向かっていった。
これはチャンスだ。
今のうちに逃げてこの変態桃太郎から逃げよう!
脳内でそう結論を出し、いざ実行しようと走り出そうとしたその時、
「どこへ逃げるんですか?」
シャッっと言うと音と共に先ほどの唐傘の男が目の前に現れた。
「足速っ!」
思わず声に出る。そりゃ誰でもビックリしますがな。
「いえ、単なる加速装置です」
目の前で逃げ場を遮られ、慌てて後ろへターンすると赤髪の子供が、んにーっと笑って立っていた。
そして申丸にだけ聞こえる呟きを発した。
「『次に出遭った桃太郎が駄目ならその次に出合った桃太郎を殺す』」
顔を青ざめ、頭が白くなる申丸。
しまった!さっきそんな事を決意しちゃったんだっけ!
いやそんなことよりなんでこのガキは知ってるんだ?アホッ面なのに!!
「モモタローは殺させないネ。つーかムシロ大好きになっちゃうからグッジョブだヨ」
そういって親指をグッと立てる赤髪の子供。
「桃太郎さんを殺す?そんな人は余計にお世話したくなりましたよ、ふフフ腐腐腐腐…」
肩をガッと掴んでぎりぎり力を入れる唐傘の男。
もうむりぽ。オワタマーク作れちゃうよ。
「おっ。早速仲良くなってるじゃないか。はははははっ」
呑気にジュース缶持って変態桃太郎もやってきた。
その無邪気で無垢な笑顔に申丸はため息をついた。
もう、覚悟を決めるしかないか……。変態の世界へ…。


〜〜〜〜〜〜〜


「でも、後から気づいたんだ。自分のみを守るために必死だったが、お前の優しさが出会った時から溢れていた事。そういう奴こそ気をつけなければならなかったのに……」
申丸は両拳を小刻みに震わせ、必死であふれる感情を堪えようと力強く握り締める。
「だからそんなオレを早めに殺そうと、あの時寝ている俺に銃を構えたのね」
桜の化け物事件の時の話だ。申丸は「なぜ知っている」とも動揺せずに桃太郎を睨み付ける。
「だが、失敗した。お前は俺の想像以上に強いよ。肉体的にも、精神的にも……」
強くて敵わない。強くて怖い。でも、勝てないと知っても戦うのに何が悪い。
勝つんだ。絶対に勝って、コイツの命を手に入れる。手に入れれば……。

「……なぁ、一人で背負っていて楽しいか?」
「!!」
桃太郎は痛みを堪えながら、申丸に問う。
「一人で辛い事抱え込んでいて楽しいのかって聞いてるんだ」
それを聞いて申丸は震えてた拳を桃太郎の鳩尾に振った。
声も出さずにまた崩れこむ桃太郎。
もう痛みで意識も消えかけているのかも知れないのに、
もう痛みで心が沈みかけているのかもしれないのに、
もう痛みで自分の事で精一杯なのだろうに、
桃太郎はまた立ち上がった。
「聞いてるんだ、答えろっ!」
気迫のある怒鳴りに申丸は素直に答えようとした。しかし何かが食い止める。
「答えない。今から死ぬ奴には!」
いやだ。
「お前は俺を信じられないのか!?」
いやだ。
「信じない。信じるものか」
いやだいやだ。
「オレ達は仲間じゃなかったのか!?」
いやだいやだいやだ。
心の中にあった何かが崩れ落ちそうだ。こぼれて欲しくない。
「仲間なんかじゃない!頼むから死んでくれっっ!!」
必死の抵抗で言いたくない言葉がまた響いた。
桃太郎は目を丸くして固まっている。
「俺とお前は違うんだ!桃太郎に助けられる鬼が存在していいのかっ!だから……」


「わかった。お前にやるよ」
「何がわかっただ!お前と俺は違う……って、何だと?」
急に何かが抜けそうな発言をされたような気がして、もう一度申丸は問う。
「だーかーらー、お前に俺の命やるって言ってんだ」
な、何を言ってるんだコイツは。
あっさり自分の命を渡す奴がいるはずがない!
「仲間の為ならこの命、差し出してやる。仲間であるお前が選んだ道だ、仕方がない」
「ちょ、ちょと待てよ!何自分の命粗末にしてるんだ!アホかお前は!」
本当にアホだコイツ。いや、元々アホなのは知ってたが予想の斜め上行くような事を言うなよ。
そもそも、仲間じゃないって言ったばかりだぞ?まだ、仲間だって言うのか……。
「アホで結構。つか、命欲しいって言ってるのに粗末にするなとか言いやがって。お前こそアホなんじゃね?」
そういってへらへら笑う桃太郎。
ヤケで狂っているとも思えない。何か裏があるとも思えない。いや、考えられない。
そんな事を考えている間に、桃太郎はピコハンの柄をおもっきり引っ張る。
すると柄が抜け、銀色に光る小刀が出てくる。
「お、おい!マジなのか!?マジなのかよ」
申丸が慌てて腹を切ろうとしている桃太郎の前に出て両肩を掴む。
「何でお前はそううろたえてんだよ。これから先オレの命をどう使うかを考えなきゃいけないだろ?芯が通ってないというか、もうちょい貫き通せよ。この心配性が」
桃太郎はうーん、この辺りか?と腹を切る位置を確認したりとかしている。これが全て演技だったら本当に殺したくなる勢いだ。
「心配性でなくとも心配するだろフツーは!」
「でも、要るんだろ?」
そう言われて桃太郎の肩を押さえていた手がやや強くなる。
「必要なんじゃん。さぁて初めての切腹、上手く出来るかなーっと」
「おいおいおいおい、ふざけるのもこのくらいにしておけって!止めろよ!」
申丸は桃太郎を揺らし、必死で止めようと説得する。
桃太郎は刃を腹に向けて、優しい奴だなホントだなんて言っている。
「最後に言っておく。………後悔は絶対にしない事!わかったか!」
「……!?」
潔の良く約束事を叫ぶ桃太郎。
申丸は混乱して桃太郎から離れてしまう。
離れたのが間違いだった。


桃太郎は最後まで変人だった。



雨脚が酷くなり始めた頃、
「あ、ヤンキーだ!ようやくミツカッタヨー」
「もう、サルさんー。探したんですからねー」
明崎ノ介と和双が申丸を見つけた。
傘を差し、ぴちゃぴちゃと泥をはねて走り出した。
申丸はしゃがみ込んだまま何かを見つめて、走ってくる二人には反応しなかった。
そして二人は申丸が見ているものを見て悲鳴をあげた。
「こ、これ……桃太郎さんじゃないですか!早く治療しないと!」
「ヤンキー!何で早くミー達に報告しなかったネ!」
それでも申丸はただ黙って桃太郎の骸を見ているしかできなかった。
「はっ!もしかして鬼達の襲撃でこうなったんじゃ!サルさんをかばって桃太郎さんはこうなったんですよね?ね!」
相変わらず黙っている事しかしていない申丸。和双は申丸の肩を持って揺らし始める。
「近くにウェポンもあったし鬼のせいかもしれないけど、そんなんでミーのモモタローはやられないネ」
明崎ノ介も申丸を見、桃太郎を見る。
よく見ると桃太郎の胸はぐじゃぐじゃにされて、なにか手を加えてたとしか思えない。
そして申丸の手が血に汚れていたのを見て、和双の様子を見る。
和双は相変わらず何かに祈るように申丸に一方的に尋ねている。
「僕の桃太郎さんを…。サルさん!桃太郎さんを退治した鬼を倒しに行きましょう!そうだ、そうしましょう!ね?だからそう落ち込まないで……」
「うるさいっ!!」
申丸は急に和双の腕を振り払い立ち上がる。
「俺の角が見えないのか!?俺がエロモモを殺したんだよ!」
それを聞いて和双は首を強く振る。
「そ…そんなはずはないです!サルさんが例え鬼だとしてもそんな事する人じゃないです!」
「俺の角が見えないのか?俺の手に抱えてる赤い物が見えないのか?なんでそこまで俺を信じきれるんだ?」
何故申丸が怒っているのかが分からず、和双の涙腺が緩む。
「仲間だから…、信頼している人だから信じちゃ駄目なんですか?」
それを聞いて申丸は二人から背を向ける。
「何でテメーもそいつと同じ事を言うんだ!信頼ってなんだよ!馬鹿の考えている事は俺にはさっぱりわかんねぇよ!」
申丸の声が響きしばらく大雨だけが音を立てていた。

「……ヤンキー」
さっきまで黙っていた明崎ノ介が口を開いた。
「ヤンキーだって大事なヒト、いるでしょ?」
そう言われて背中が震える申丸。
「大事なヒトを愛してるでしょ?」
「…………」
否定できないのか、黙り込む申丸。
「その愛してるヒトを思う気持ちが、ユーの知りたい事だヨ?」
明崎ノ介が少し大人びた事を言うので驚く和双と、ため息をついた申丸。
「……俺の大切なヒトは、俺の唯一の肉親だ」
そこで少し息を吸い、間を空ける。
「俺の妹、トトって言うんだ。その妹が鬼にとって有害な病を抱えてたんだ」
そして過去をなぞるために申丸は瞳を閉じた。


『病名は不明。病状は徐々に筋力が弱まり、角が取れる。要するに鬼から人間になる病です』
『先生!それでは…角が取れるって事は……!』
『そうですね。厳しい罰が待ってますね。それと、その病は感染します。ご家族の方は特に気をつけてください』

『なんでトトを殴ったんだ、母さんっ!!』
『決まっているでしょう。コイツは汚らしい手で私の茶碗を洗おうとしたのよ?感染するかもしれないのだから当然でしょう?』
『お兄ちゃん!大丈夫だから…。だからママと喧嘩しないで…』

『よぉし、今日はパパが海に連れて行ってやるからな!』
『わーい、ありがとうパパー!大好きっ!』

『トト、その崖にあがるんだ……』
『嫌だよ…、高いところ怖い…。そんなところで転んだらトト、海に落ちちゃうよ?』
『そうだね、落ちちゃうね。でも、トトが落ちちゃいけないなんて誰も言ってないんだよ?むしろ、パパ達はトトに落ちてもらいたいんだよ?』
『いやっ…そんなことないよ…。嫌だよ、死にたくないよ…』
『トトの大好きなパパからのお願いだよ?そんな抵抗したら、パパはトトの事嫌いになっちゃうよ?』
『いやぁぁぁっ!!』

『…海に突き落とすのは失敗した。クレが邪魔しやがった』
『まぁ!……最近クレがトトを庇うようになってきたわよね。クレだけはタタ族のいい男にしたかったのに、残念ね』
『他にも手はあるさ』

『ごめんね、お兄ちゃん……。トトのせいでお兄ちゃんまでご飯抜きになっちゃって』
『謝る必要があるのは父さんと母さんだよ。何で皆、『トトの病気を治そう』って事は考えないんだろう……』
『ふふふっ』
『何笑ってるんだよ?』
『だって、どこのお医者さん行っても治せないって言ったんだよ?お兄ちゃん、何で今更そんな事を言うんだろって…』
『何を言ってるんだよトト!きっとどこかのお医者様なら治してくれるよ!お兄ちゃんが探してあげるから!』
『……本当?』
『ああ。だから泣くなよ。な?』
『うん……分かった。トト、泣かない』
『えらいえらい』
『えへへ…。撫でられちゃった。……初めての』

『「クレとトトへ。二人とも大嫌いです。だから探さないでください」』
『本当にパパもママもどっか行っちゃったの?』
『……』
『トトのせいで出て行ったの?』
『…違う。トトのせいじゃない』
『トト、泣くの我慢したし、言う事ちゃんと聞いたよ?どうして……?』
『……トトのせいじゃない。トトのせいじゃないんだ……。だから泣くな、トト』

『本当ですか、村長さん!』
『あぁ、ワシ等を束ねる鬼神様の幹部の方が治療法を知っていると』
『やったな、トト!治せるかもしれないんだ!』
『うん!』

『治し方は簡単だわ。桃太郎の心臓。それを手に入れて私の元へ持ってきてくれればいいわ』
『桃太郎の心臓…だな。わかった』
『お兄ちゃん!無理だよ!桃太郎って強いんだよ?』
『ただの桃太郎じゃ駄目よ。大鬼を倒せるほどの強さを持つ桃太郎であること。それともう一つ』
『なんですか?』
『クレ君…でしたっけ?貴方もその病に罹り始めてるわ。このままでは桃太郎を倒す筋力も失ってしまう。それでも行くの?』
『………行きます。トトは絶対に殺させません』
『貴方は死んでもいい。そう聞こえるわ』
『……気のせいです。…トト、行ってくるな』
『お兄ちゃん……』



「だから桃太郎さんを殺したんですね」
「……そうだ。それでもお前はまだ俺のことを信じるとか言うのか?」
和双と明崎ノ介は沈黙したまま、俯いていた。
「僕は信じます」
俯いたまま和双はそう言い聞かせるように呟いた。
「家族のためならば仕方がありません。でも、何故サルさんはそれを一人で背負ってしまったのかが……分かりま…せん」
唐傘の下で和双は涙ぐみ、しゃくりあげる。
「僕が…僕達が…、信頼できないから……。サルさんは…きっと……ひっぐ」
立つのが堪えられずしゃがみこんだ和双。明崎ノ介はそれを見守っていた。
「おい、英語ヤロー」
申丸は背を向けたまま、落ち着いている明崎ノ介を呼んだ。
「なにサ?」
「………なんでもない」
そう言った後、明崎ノ介が返事を言う間もなく、申丸は走り出した。
大切な妹がいる鬼の村へと走り出した。



「ワソウ」
「ひっぐ…なんです?…キジさん…」
「ミーもユーも…アイツらも、独りだったんだヨ?」
「アイツらって、桃太郎さんやサルさんも…?」
「皆孤独だったネ。周りに人が存在しても、気持ちは独りだった…。違うか?」
「……」
「でも、ミー達は出合った。そして一緒に笑い、一緒に泣き、一緒に戦った。よって気持ちは独りじゃなくなった。大切な、信頼できるヒトができた」
「そんなはずはないです…。サルさんは僕等を信頼できなかった。だから……」
「本当に信頼できなかったと思う?」
「………え?」
「信頼されていると信じなきゃ、一生信頼されないネ。マシラマルは独りに慣れなくて戸惑っているだけ。信頼されて困惑してるだけ。なら、その時は手を繋げばいい」
「手を繋ぐだけですか……?」
「そうネ。誰でも不安になったら気持ちは辛くなる。そんな不安を一緒に抱えてあげるからって意味で手を繋げばいい。言葉よりも温かみはある。それで分かってくれると思うナ」
「……手を繋ぐ」



「トト!…桃太郎の命、手に入ったよ!これで……。え」
申丸が妹がいる家の扉を開けると、そこには信じられない光景が広がった。
床にはワイン色の液体が、あちこちに赤い物質を中心にできていた。
壁にも飛び散った赤い液体が見える。
「なん…だよ。コレ……」
申丸はゆっくりと中に入り、一つの推論が出来ている頭を無視して探索した。
「窓も割られてる…」
まるで動物が必死で抵抗した後のように机も、椅子も、花が飾られていた花瓶も全てが散らかっていた。
そして他の所も探りに行こうとした時、動いた足に何かが触れた。
それはボール大の赤に染まった物だった。
手にとって確認しようとし、そして一つの推論が結論になってしまった。
「う…うあぁああああぁあああ!!」
それはボールでもなく、知っている人物の頭だった。
申丸と同じ金髪に、見覚えのある顔の輪郭。瞳は開いたまま生気が無い。
妹――トトの首だった。
「一体……どうして……?」
その頭をよく見てみると、頭に角が無い。いや、角が引きちぎられたように見える。
トトと申丸が罹っている病は「自然に角が取れる」と医者が言っていた。
だがこれはどう考えても自然に取れたとは思えない。
まさか………。
「うえっ!『呪われた娘』の兄が帰ってきてるぞ!」
急に後ろから声がしたので振り返ると、そこにはかつて優しくしてくれた鬼が村中に向かって叫んでいた。
その鬼の服には赤い点々がついていた。
もしかして…、いや……。
そう考えている頃に、村の鬼達が家から出てきて、申丸のいる部屋にざわざわと集まる。
「きゃー!あの汚らわしい娘に家族がいるなんて聞いていないわよ!?」
「あんな娘の兄だ。きっとあの娘よりタチが悪いぞ」
「殺せ!そいつも殺しちまえ!」
汚らわしい?タチが悪い?そいつも殺す?
コイツら……コイツらは絶対
「許すもんか」
命乞いも許さない、涙流して縋ってきても許さない。
トトがどれだけ苦しんで死んだか、その体に焼き付けてやる。
腹を殴って痛みを味わい続けさせ、十分に苦しんでから一人ずつ撲殺してやる。
殺すんだ。
殺してやるんだ。
殺して全て終わらせるんだ!
「うぉおおおおおおおおおおおっ!!」



雨が降ってゆく。
自分の手についた血が洗い流されていく。
でも、汚れは取れない。
同じ鬼を殺したという罪は洗い流されない。
なんでこんな事になったんだっけ?
ああ、エロモモを止められずに命を手に入れて、和双と英語ヤローを仲間だなんて認めずに捨ててきて、トトが死んでて、同胞を今殺した。
だからこうなったんだ。
なんだ。簡単にまとめたら俺は最悪最低な鬼だ。
雨よ、雨よ。
どうかこんな罪で出来た生き物を洗い流してくれ。
俺はもう……




「おら、ここで待ってろ!」
「ぐっ!」
自分の住んでいた村の鬼を全て殺した申丸は鬼の監視役に見つかり、鬼神の住む城の中にある牢獄に投げ飛ばされた。
文字どうり放り込まれ、地面に顔をこすらせ、そのまま鉄の重い音が鍵をかけたのが石積みの廊下に響き渡った。
どうやらこの後、処刑を受ける事になるらしい。
恐らく角を奪い、五体を縛られた後、自分が村の鬼を殺したようにじわじわと死の道を歩かせるのだろう。
とりあえずゆっくりと起き上がり、雨が当たらない屋内って事に不満を感じつつ、無意識に笑みがこぼれた。
「もう、どうにでもなれってんだ……」
「あら?そんな投げやりでいいのかしら?」
急に聞きなれない女性の声が檻の前で聞こえた。
ふと顔を上げてみると、あの時トトの病の治療法を教えてくれた…鬼神の幹部がにこやかに笑って手を振っていた。
「元気じゃなさそうね」
「別に元気だ」
「あらそう」
そういって幹部は手を振るのをやめ、相変わらず笑顔のまま腕を組んだ。
「敬語も使わなくなっちゃって…。前の方が好きだったのにナ」
「そんなくだらない話のために来たのか?」
あの笑顔がうっとおしくてギンッと睨み付けて見る申丸。
「いえ。貴方が桃太郎の魂を持っていると聞いて」
そういえばこの幹部は言っていた。
その魂さえあれば病を治す事が出来ると。
そして俺にも病がうつりかけている事を。
「もしよかったら、それを渡してくださる?そうすれば貴方の病も治るし、もれなく同胞を殺した罪も帳消しにしてあげるわよ?」
目が覚めるようなことを言われて申丸は檻の柵に手をかける。
「ほ、本当か!?」
治れば鬼として生きていくことが出来る。
その上、このまま弄られ殺される心配がなくなるのだ。
そうすれば…そうすれば……!
そんな希望で笑顔を取り戻した申丸を見て、ニヤリと笑う幹部。
申丸は大切に取っておいた桃太郎の心臓を幹部に渡した。
「これで…これでいいんだよな?」
幹部は桃太郎の命を受け取り懐にしまうと、申丸の顎を持ち、自分の顔を近づかせにこやかに囁いた。

「う・そ」

申丸の笑顔が凍りついた。
「私は上からの命令で貴方をからかいに来ただけ。桃太郎の命が欲しいのは嘘じゃないけど」
思考が完全に停止して固まる申丸を見て幹部は上品に笑う。
「うふふふふ。傑作ですわ、貴方のその表情。めちゃくちゃにしたいくらいね。それと」
幹部は檻から離れ、にんまりと表情を作った。
「貴方の病は桃太郎の命じゃ治せない。初めから私に踊らされてただけ。残念でしたー」
そう言って幹部は初めと同じように手を振りながら去っていった。


「は、ははははは。あっはははははは」
とうとうまた罪を犯してしまった。
無意味にも殺してしまったんだ。桃太郎を。エロモモを。
涙がじわじわと目の下にたまっていく。
もう鬼として認めてもらえなくなる。和双や英語ヤローのところに戻っても人間として認めてもらえなくなる。
鬼でも人でもなくなった。
「鬼でも人でもなくなっちまったよっ!!」
ついに涙が頬の伝って流れ、押さえていた気持ちが爆発した。
「もう誰にも信じられなくなる!もう誰も俺を信頼できなくなる!」
同胞を殺すことになったのも
「俺が悪かったんだ!俺のせいで全てが狂ってしまった!」
仲間を裏切る事になったのも
「俺が生まれてさえ来なければ…、俺がこの世に存在しなければっ!」
エロモモを殺す事になったのも、自分のせい。
「あはは、あははは!俺なんか死んじまえ!」
そう言ったと同時に申丸は崩れこみ、意識を失った。


『お前は桃太郎に後悔するなと言われたのではなかったのか?』
何かが脳の中で聞こえる。
あたたかくもあり、でも威圧感がある声色。
視界が開いた時、周りは真っ白で申丸は宙に浮いていた。
白すぎてまぶしく感じる。宙に浮いていてるのか、立っているのかが分からないくらい下も真っ白だ。
そんな中、赤い光が自分の前に浮かんでいた。
子供の姿で背中に鳥の羽が、そして腰から尾が広がっていた。
そんな光がもう一度囁く。
「お前は、お前の好きな桃太郎に後悔するなと言われたのだろう?」
そういえば死ぬ前にエロモモはそう言っていた。
それがどうしたって言うんだ。
「また罪を犯したいのか?」
何を言ってるんだ?一体何の罪だよ。
「後悔をすること。それすなわち約束を破る事。お前は桃太郎すらも見捨てるのか?」
………。
もうどうでもいいんだよ。あと少しで俺は死ぬ。
恨まれた罪は死んで償うさ。
「死ねば罪が消えると思っているのか?」
じゃあ逆に聞くが、もうすぐ俺は処罰を受けて死ぬんだぞ?死ぬしかもう道はないんだぞ?
生きて償えといっても無理があるだろうが?
「ならば抵抗するがいい」
はぁ?そんな簡単に抵抗できねぇよ。俺だって徐々に人間になりかけている。
鬼神の住む城だぞ?山ほどの護衛の鬼がいるに違いない。それも、護衛と呼ばれて当然なくらいの力をもってな。
「……。何故自分で他人の罪を背負い込む?」
何故って、そりゃあ俺が……。
「罪はお前にあるのではない。罪をお前に着させたあの女にあるのだ」
あの女?クレの事を言うのか……!
「誰もお前の妹などとは言ってない。桃太郎の命を単に欲しいが為にお前に嘘をついた女・十日菊(とおかぎく)。その女には罪がないのか?」
……!
その女を殺せばいいってか?
「殺せばいいというわけではないがな。それはお前次第だ。無理があるというならば力を貸そう」
…………。
分かった。
だから早くここから出してくれ。現実に戻らさせてくれ。
どうした?急に黙って?
「………モモタローが死んでから、お前は変わり果ててしまったな」
な、何が変わったって言うんだよ。いきなりこんな話しやがって……。
「お前を支えてくれたかけがえのないものが、いとも簡単に消えてしまうとは。全ての根源は十日菊らにあるのだが……!」
コイツ…怒っている?俺の為に怒っているの…か?
なんか懐かしい。
俺のために、仲間の為にわざわざ怒り、笑い、泣いた奴が。
懐かしい。
アイツにまた会いたい。
………。
なぁ、アンタ。
あんたに一つ頼みたい事があるんだ。
俺一人じゃどうしようも出来ないって分かったから。
できるか?
よし、できるんだな。



「なぁエロモモ……。お前がここにいたら俺の事、変態発言して嫌な事忘れさせてくれたんだろうな…」








和双は一人走るのに夢中になってある場所へと向かっていた。
鬼を束ねる鬼「鬼神」の根城とされている「鬼源城(きげんじょう)」へと走っていた。
本当は加速装置を使って一瞬で鬼神のところまで向かいたかったが、太陽光を極端に浴びていないせいでエネルギーが少ししかない。
ここで加速装置を使ってしまったら鬼を退治するエネルギーは残されていないだろう。
だから加速装置より低燃費である走る行動でひたすら鬼源城に向かっていた。
向かった理由はただ一つ。
何かを感じ取ったからだ。
強い強風が心の中で吹き、しかしどこか穏やかな風。
感じ取った時、心の中はそう感じたのだ。
大好きな桃太郎は死んでしまった。
申丸は妹のために去っていった。
明崎ノ介も急に見当たらなくなった。
もしかしたら皆に呼ばれているのかもしれない。
「鬼源城で待つ。そこで鬼と決着をつけよう」と。
会いたい。皆に会いたい。一人は嫌なんです。
だから和双は走り続ける。
そして明崎ノ介に言われた事をしたい。
手を繋ぐ事……を。




その頃申丸は檻をぶち壊し、ひたすら鬼を倒しつつ、自分を騙したあの女・十日菊を探していた。
「時間がないんだ。奴を倒すだけの怪力を保てるのが」
だがここの鬼達もそうやすやすと倒せる相手ではなかった。
申丸の予想通り、この城を守るだけある鬼達は手ごわい。
思わず焦りが生じてしまう。
攻撃が荒い、隙も多い、ワンパターンな戦い方になっている。
このままでは、申丸は十日菊にたどり着く前に死んでしまう。
すると急に戦っていた鬼達が後ろへと後ずさった。
申丸を中心に出来た一つの空間の先には一本の道。
そこから申丸の五倍はあるような大鬼が腰まである金棒を引きずって歩いてきた。
奴が歩くたびに地響きが鳴り、申丸の体は軽く飛ぶ。
「……はっ。十日菊もマジって事か」
申丸はもう一度ファイティングポーズをとり、大鬼と向き合った。
「覚悟しろよっ!」
申丸は走り出し、右拳を後ろに引き、大鬼の腹に向かって突き出した。
手ごたえはあった。だが大鬼はびくともしない。
大鬼は瞳のない赤い目で申丸を見下ろすと金棒を握り締めた。
駄目だ。
どう考えても筋力・威力・大きさ的に巨体のアイツには攻撃が聞かない!
巨体なので動きは遅いから隙は大きい。
だが勝ち目がない。
このままでは先に殺される!
そう申丸が考えているうちに、大鬼は金棒を頂上にまで振り上げていた。
大丈夫だ。動きはこっちの方が早い。十分に避けられる時間はある。
だが、急に体が動かなくなった。
「な、なんだ!?」
よく見ると申丸の周りに鬼達が並び、申丸が逃げないように掴んでいたのだ。
「お前らっ…!」
このままではこの鬼達も金棒に巻き込まれて死ぬかもしれない。
いや、そんなことを考えている場合じゃない。
『グオオオオオオオオ!!』
そして金棒はゆっくりと振り下ろされていった。
申丸は仕方がなしに、ふっっと笑った。
自分の人生の終わりを笑ったのかもしれない。
いや、それとも……




「腐女子の妄想力バカにするなぁぁぁぁぁ!!」
『!?』



急に変な発言が聞こえ鬼たちは動きが止まる。
そうボンヤリしている間に何者かが大量の鬼を吹き飛ばしてこちらに向かってきた。
鬼達はものすごい勢いで宙を舞い、砂埃を浴び、地にぶっ倒れた。
「急げ!今なら避けられる!」
その者の声に我に返った申丸は、いつの間にかしがみついていた鬼達が吹き飛んでいるのに気づき、金棒がもう視野を覆いつくすほどまで近づいているのを見た。
「間に合えーっ!!」
申丸は横に低く飛び、靴の裏に金棒とこすれる感覚を感じ、
「うぉぉおおおおお!」
見事飛び避けた。
そのまま大地に顔をこすりつけながら滑り込み、背後で凄い轟音が聞こえた。
「さっすがオレの嫁。ひやひやさせるぜ☆」
そして倒れこんだ申丸を上から見下ろしていたのはアイツだった。
桃色の袴とシャツの上に左側だけ下ろしている羽織をまとい、金の瞳と茶髪のポニーテール。そしてふざけている巨大ピコハン。

あの桃太郎が立っていた。

「何が『オレの嫁〜』だよ。いい加減その性格自重しろ」
申丸は立ち上がり、服をパンパンと払いながら呟いた。
しかし、その口調はどこか嬉しげだった。
そして金棒の後を見ると、十メートルほどのクレータが出来、熟れた赤いトマトが潰れたようなものがたくさんこびりついていた。
「アレ食らったら一溜まりも二溜まりもないだろうな」
桃太郎は大鬼が金棒を持ち上げるのを見ながらそう呟いた。
「食らう前に先に潰す。それでいい」
拳をぎゅっと握り締め、申丸は言い返した。
桃太郎は涼しげな顔でその様子を見つめ、気になっていたことを申丸に尋ねた。
「なぁ。何でオレ生き返ってるの?命渡したよね?」
それは作者も読者も気になってます。何で?
「…俺が生き返らさせたんだよ。あいつに頼んで」
「あいつって誰、神様?」
「誰だっていいだろ。お前を生き返らせたのは他でもない。鬼の幹部・十日菊を…潰すためだ」
桃太郎はぽかんとした顔をしたままだった。
申丸は妹のことを話し、その為にお前の命が必要だった、しかしそれは十日菊の罠だった。自分はこのままじゃ人間になり、力を失ってしまう。そう手早く説明した。
「あーあ…。やっぱ生きて罪を償えって事なんだろうなぁ…」
ピコハンを肩にぽんぽんと当てながらため息をつく桃太郎。
その言葉は申丸に向けているというより、桃太郎自身に言っている様だった。
「死んだら逃げる事になる。だから死にたくなっても死にそうになっても生きるべきなんだ」
それも気にせず申丸は拳を構え、
「いくぞ、エロモモ」
「へーい」
桃太郎もピコハンを担いだまま申丸と走り出した。
しかし鬼達もそう簡単に倒されてたまるかと、大鬼を守るかのように前に立つ。
「エロモモ、俺が鬼達の囮になる!お前は大鬼を!」
「はいはいっと。…いつから命令される立場が変わったんだろうねぇ」
申丸は鬼達を殴り飛ばし、振り投げ、蹴散らしていく。
頭に痛みが走ったが、ここで負けるわけにはいかないと奮闘する。
そして大鬼へ一直線でいける道が開いた。
「今のうちっ!」
桃太郎は刹那、砂埃を立てて走り出し、道を戻そうと走り出すが桃太郎にいとも簡単に吹き飛ばされてゆく。
あまりの爆走っぷりに申丸まで吹き飛ばされそうになるが、何とか踏みとどまる。
そして桃太郎は大鬼の前までたどり着くと、大鬼の顔の前まで高く飛び、体をねじりピコハンを振るった。
ゴスンと鈍い音が響き渡った。
「やったか!?」
大鬼は少し後ろによろめき、だが体勢を整え金棒を持っていない手で桃太郎を殴り飛ばした。
「うぉぁっ!」
桃太郎はものすごいスピードで吹き飛ばされ、鬼達の壁よりも更に後ろに落ち、それでもスピードは止められず地上を抉ってゆく。
「エロモモっ!」
急いで鬼達を蹴り倒し、何とかして鬼の群れから抜け出すと桃太郎の元へ駆ける。
「大丈夫か、エロモモ!」
桃太郎は目を開き、ゆっくり起き上がると体をさすった。
「大丈夫。かなり骨が痛いけど」
「む、無理すんなよ!」
いつもツンな申丸が皮肉ではなく純粋な心配をしてくれて、桃太郎は少し微笑む。
それも気にせず申丸は頭の中で作戦を練る。
それにしても今まで数多の物を粉砕してきた桃太郎のピコハン攻撃に耐え、なおかつ余裕な顔して反撃してきた大鬼…。なんて頑丈なのだろう。
もう一度同じところを攻撃してみればいいだろうか?
いや、大鬼の顔は余裕そうに笑みを浮かべている。
あれがやせ我慢だというのなら直々に殴り倒したい。
ならば自分とエロモモと同時に攻撃してみてはどうだろうか?
そう申丸は考えたが首を振る。
駄目だ、それは不可能だ。
なぜなら大鬼を取り巻く鬼たちを吹き飛ばし、道を確保する役が必要なのだ。
桃太郎が全速力で走ってもあんな数の鬼達の中へ入るのは正直きついだろう。
なにより、桃太郎のスピードに申丸が追いつかない。
だからといって桃太郎に担いで一緒に行くのも手だが、それでは桃太郎に負担がかかり蹴散らす事は出来ないだろう。
「くそっ。どうすればいいんだよっ!」
申丸は手のひらで拳を当て鳴らし、顔をしかめる。
その時急に申丸の体に電流が流れたかのごとく激痛が走った。
「う…うぐっ……!!」
「どうした、申丸!」
全身に鈍い痛みが走り、それはやがて角に集中してゆく。
体が痺れているような感覚で、神経に直接物でも触れられているかのようだった。
「うあああああああああああっ!!」
そしていきなり痛みは止んだ。
と同時にカランと何かが落ちた音がした。
桃太郎はそれに気づき、落ちたところを見てそれを拾い上げる。
「鬼の……角?」
そしてそのまま申丸の頭を見る。
「…間違いない。申丸の……角だ」
「……え?嘘だろ?」
申丸は桃太郎の手の角を引ったくり、角が生えてたところをを触ってみる。
「人間…に……なっちまった…」
角は無機質にキラキラと金色に輝き、申丸の瞳を映す。
拳に力を入れてみる。
今までみたいな力が感じない。
こんな程度では大鬼どころか壁を作っている鬼すらも倒せない。
「よりによってこんな時にっ……!」

大鬼を倒す希望はまた消えていった――――――

「そんな…そんな……」
申丸は膝をつけ手をつく。
その隙にと、鬼達がわらわらと走り出してきた。
「申丸!今落ち込んでる場合じゃねぇ!今すぐ安全なところに逃げろ!」
桃太郎は申丸の肩を叩くが、申丸は立ち上がらない。
「くっ……。エロネタ話す暇もねぇ!」
桃太郎は鬼達の方へ振り向き、ピコハンを構える。
ここにいる鬼達全てを倒せる自信はないが、申丸が逃げるまで持ってみせる。
そう決意を込め、桃太郎はピコハンを振る!
正面にいた鬼達は殴り吹き飛ばされ動かなくなるが、まだ後ろから現れてくる。
「キリがねぇな……!おーい申丸、立ち上がれ気高く舞え定めを受けた戦士よ!」
まだボケをかます余裕があるみたいですが、徐々に押されていきます。
そして不意に一匹の鬼が申丸向かって飛び上がり、拳を構える。
「しまった!逃げろっ!」
申丸はハッと我に返ったが、鬼はもう目と鼻の先だった。

「なに桃太郎さんの足引っ張ってるんですかこぉの駄目サルさーんっ!!」

そんな叫び
声と共に申丸に近づいた鬼は爆発する。
鬼達はその声の主の方向を一斉に見る。
すると水色の浴衣を着た唐傘の男が煙が出ている両手を突き出して堂々と立っていた。
何モンだお前と鬼達が言う前にその男は背中から大量の穴が開いたポットを左右に出し、そして
「ふぁいあ〜っ!!」
追尾式ミサイルが五十本ほど発射された。
ミサイルは鬼達目掛けて走り出し、次々と鬼達が爆発に巻きこまれる。
それでも何とか逃げ延びて生き残っている鬼達が隙のできた男向かって走り出したが、チリンと音が鳴り、何か光ったと思ったと同時に真っ二つに割れ、倒れる。
「またつまらぬものを斬っちゃったネ」
真っ二つの鬼の後ろには、かぼちゃパンツと洒落たシャツに朱色のショートヘアー(二つの触覚アホ毛付き)の子供が両手に刀を構えて笑っていた。
笑うとチリンと首の鈴付き首輪が鳴る。
「和双!明崎ノ介!お前らなんでココを…?」
桃太郎が驚き、申丸も目を丸くしていた。
「そりゃココが知ってた…オープス。モモタローとヤンキーがココにいるって気配がしたからネ」
明崎ノ介はもう鬼達が全滅している事を確認しながら答えた。
和双は何も言わず申丸の前へと歩き、パシンと申丸の頬を叩いた。
「このオバッカス!ギターソロ徹子!」
「いや、言ってる意味わかんねぇし……」
申丸が項垂れながらつっこむ。
和双はそんな申丸の目の前に手を差し出し、唐傘の下でにっこりと笑う。
「心配だったんですよ。でも、無事でよかったです」
「あ、ああ……」
差し出された手に申丸は手を繋いだ。
和双は嬉しそうにえぃっっと掛け声を上げ申丸を立たせる。
「これで仲間として仲直りですね。もうこの手は離しませんよ?」
そう普通に言われ申丸は顔を赤くし、和双から手を離そうとする。
が、力強く握られ離してくれない。
「もうこの手は離しませんよ?」
「痛い痛い!そんな力強く握るな!俺もうそんな力に耐えられるほど強くねぇんだから!」
「えへへへ、嬉しくてついつい…。ってサルさんの身に何かあったんですか?」
そんな穏やかムードだが、申丸は簡潔に先ほどの出来事を話した。
「ふーむ。とりあえず守るためにこの手は離しきれない…と解明」
「解明するところそこかよ!」
「あははは」
そんな穏やかムードですが、
「まだ、残ってる敵がいるだろ?お楽しみはその後だ」
取り残された桃太郎がピコハンを大鬼に指しながら二人に言う。
大鬼は待ち構えたように金棒をまた振り上げた。
「来るぞ。桃太郎部隊準備オッケーか?」
「了解です」
「バッチシブイだヨ!」
「俺も戦うぜ」
それと同時に金棒はゆっくりと振り下ろされ、四人はそれをかわす。
「ちょっと待ってくださいよ!力がないサルさんは大人しく隅っこに居るべきでしょうが!」
和双はバンバンと両指から銃弾を発射しながら叫ぶ。
「お前等だけに戦わせるのは悪いだろうが!それにこれは俺の戦いだ!」
異議を唱えられて怒りながら申丸は高く飛べないので拳で大鬼の足辺りを殴るが、自分の拳が痛みをあげるだけだった。
「俺の戦いって言いつつもオレを復活させたのは問題だと思うがなぁー」
ピコハンを先ほど殴った大鬼の顔向かって振り続ける桃太郎は言い返す。
「それにミー達に悪いとか思わないでいいネ!ミー達は仲間なんだからっ…っとと!!」
明崎ノ介は二刀を振って攻撃していたが、大鬼が反撃に拳を振り、間一髪で避ける。
「とにかく僕達に任せてください!サルさんは早く目的を果たしてください!」
和双の言っている目的とは恐らくトトの事を言いたかったのだろうが、申丸に通用したので問題はないだろう。
申丸は「悪ぃ、みんな」と言って走り出し、奥の部屋―――おそらく十日菊がいる部屋に続く廊下へと向かおうとした。
すると、申丸の頭に何かを投げられた。
「なんだよ!ったく……」
何を投げられたのかと地面に落ちたそれを見ると、桃太郎のピコハンだった。
「もしもの時はそれ使って倒せー!」
そう桃太郎の声がした。
無茶だろ。
つか重いし。
しかし先ほど頭に投げられたという事は今頃は頭の骨が逝ってるはずだからと考え、ピコハンを持ち上げると思った以上に軽かった。
「本気になれば強くなる!オレの汗と愛とエロスが込められたピコハンだ、安心して使ってくれ!」
なんか聞いただけでは頼りないが、バクハン貰った方がいいかなとか思ったが、一応持っていくことにした。
そして今度こそ奥の部屋へと向かう扉がある廊下へと走り出した。


「さて、オレらも後追わなきゃな。和双、明崎ノ介!お前等は大鬼の両手を攻撃して反撃できないようにしてくれ!」
桃太郎がそう指示を出し、ピコハンも何も持ってない状態で大鬼向かって走り出した。
「桃太郎さんはどうするんですか!?」
和双が不安そうに手をレーザービームモードに変え、丸腰桃太郎に問う。
「もう一度顔をぶん殴るっ!」
そういって桃太郎は高く飛び上がった。
いや、心配してるのはそこじゃなくて「武器なくて大丈夫か?」っていう心配なんだけど…。
と心の中で呟く和双と明崎ノ介。
「うぉぉらぁぁっ!」
桃太郎は申丸のように拳を前に突き出し大鬼の顔…いや鼻を殴った。
『グオオオ?』
それがどうしたというような顔をした大鬼。しいていうなら鼻から鼻血が垂れているだけ。全然効き目がない。
桃太郎はニヤリと笑い返し、その鼻血を―――――舐めた。
『!?』
「桃太郎さん!?」
「モモタロー!」
桃太郎はたっぷり血を舐めた後、スチャッと着地した。「さちっ」って掛け声と共に。
「桃太郎さん!いくらなんでもこんな大鬼とカップリング作りは無茶です!桃太郎さんの体が持ちませんよぉ!」
何でカップリングになるんだよ!とか、申丸が居たら絶対そうつっこんでたと思うが、エロモモさんならやりかねないよね?
明崎ノ介は呆然としているのか、無言です。衝撃的なシーンだったのでしょうか?
「いや、別にこんな無口とマッチョしか萌え要素ないとなると何もしないけど…。しっかし超☆久々に血を飲んだわぁ……」
え?まさか?
まさかですよ?
桃太郎さん前「トマトジュースないかな?」とか宿屋の冷蔵庫漁ってた時もあったけど、まさかですよね?
「本当は満月の夜しか変身しちゃ駄目だったんだけど……。そぉぉぉれいっ!!」
そんな事を呟きながら桃太郎は瞳を閉じ気合を入れると、周囲に闇が展開するように現れる。
その闇は桃太郎の体に張り付き、皮膚が浅黒くなり、背に黒いマントを形成し、そして頭から小さな角が生えてきた。
闇が消えると桃太郎はカッと金色の目を見開き二カッと笑い、八重歯が笑みからこぼれる。
その姿はまさに――――吸血鬼。
「も、桃太郎さんが…吸血鬼!?」
驚きが隠せない和双。
思わず攻撃を止めてしまいそうになり、慌てて冷静さを取り戻そうとする。
「悪い、今まで隠してて。オレが鬼一族と血がつながってる事を」
そう、文字通り吸血鬼は鬼の一族と血縁関係である。
だからこそ、申丸に対抗するほどの怪力を持っているのだろう。
和双は呆然と桃太郎を見ていたが我に返ると今まで放っていた銃弾攻撃をやめ、手をバズーカ砲に変える。
「桃太郎さんが本気なら僕も本気でいきます」
「……和双」
このまま桃太郎は和双と明崎ノ介にびびられて逃げられるかと思ったが、心の中でそれを振り切った。
仲間…だもんな、オレ達。
「ほらキジさんも本気出して戦いますよ!」
和双に叫ばられ、ボンヤリしていた明崎ノ介は意識を現実に戻し頷く。
「ミーも全力でモモタロー加勢するヨ」
「……明崎ノ介」
桃太郎は明崎ノ介を見て、明崎ノ介がニヤリと笑ってくれたのを見て、笑い返し
「よっし!いっちょ派手にヤりますか!!」
「「ラジャー!」」





その頃の申丸はというと、
ようやく長い廊下を渡り、巨大な扉の前に立っていた。
扉には赤く光った文字が『この先鬼神の許可を得たもの以外立ち入り禁止』と刻まれていた。
「……いくんだ。俺は」
そう自分に言い聞かせながら重い扉をゆっくりと開けた。

扉の先は石積みで出来た巨大な部屋だった。
壁などには奇妙な紋章が描かれ、それ以外には何も無い。
何とか肉眼で辺りが見える薄暗い世界の中に、あの時の女が立っていた。
「まさか脱走したのはいいけど、道に迷ってココに付いた、とか無いわよね?」
「くだらない冗談はいい」
申丸はギンと十日菊を睨み、ピコハンを構える。
「あら怖い。で、ココに来た目的は何かしら。この先にいる鬼神様を倒すため?それ以外には思いつかないのだけど」
十日菊はにこやかな笑顔のままため息をつき、髪をいじり始める。
「随分と余裕だな」
相手のペースにとらわれないように冷静に申丸は言った。
「だって、貴方の得意な拳で私を倒そうという『気』が感じられないもの。その代わりに持っている武器がおもちゃ?からかわれているとしか思えないわ」
そう聞いて桃太郎に少し感謝する申丸。見た目で油断させるいい武器をありがとう、と。
そんな事よりと、申丸は十日菊に問う。
「あえて鬼であるお前に問う。―――罪を感じているか?」
十日菊は髪をいじるのをやめ、手を後ろに組む。
「感じていないフリをしている、とでも言ったら?」
申丸は湧き上がる怒りを堪えながら、落ち着いた状態を表面に出した。
「流石、鬼の幹部って褒めてやりたいな。非情な心を持っているなって」
そこで深呼吸をし、間を置き
「だからこそ、俺は『人間』としてお前を殺す」
そして申丸はピコハンを懐にしまい、拳を構えて十日菊向かって走り出した。
それを紙一重で避ける十日菊。その額には汗が。
「お前は肉弾戦が苦手なのか?」
申丸に指摘され、十日菊は笑顔から瞳を開け睨み返して、申丸の両拳を掴む。
「確かに私は頭脳戦の方が好きだわ。女性はグーではなくパーで攻撃するものだもの」
お互い腕に力を込め、力と力のぶつかり合いとなった。
十日菊は女性だ。だが鬼の怪力がある。申丸が人間になっていることには気づいていないだろうが。
だからこそ十日菊は本気で力を込めている。
申丸はそれでも力のある限り腕を突き出す。
しかし申丸の足元の床に亀裂が走り、体が下にずれる。
「あら?やっぱり私のほうが強かったのかしら。このままだと貴方の負けね」
申丸の体がどんどん後ろにへと押されてゆく。
「何か遺言はある?あ、地獄にいるの妹ちゃんにしか話す必要が無いかナ?」
ぴくりと申丸の体が動く。
「実は私、貴方とその妹さんがうざったらしかったの。鬼神様も貴方達の事を気に入ってたわ」
十日菊は勝利を掴んだと思いにこやかな笑顔になって話を続ける。
「鬼神様は私の『物』なのに、私の言う事も聞かず貴方達に近寄ろうとした」
申丸は顔から汗が流れている事も気にせず、ただ必死に十日菊の怪力に堪える。
「それを阻止するために私は思いついたの」
―――貴方達を不幸な病に犯させれば鬼神様は離れてくれる、と。
「そこで私は作ったわ。人間になってしまうウィルスを。そしてそのウィルスを貴方の妹に感染させた。食べ物の中に入れてね。そして成功した…はずだった」
その事を思い出すかのように十日菊も拳に力が入る。
「鬼神様はそれでも貴方達から離れようとしなかったわ。人間になることも恐れもしなかったわ。私は困り果てた。そこで都合よく貴方が病の治し方を聞いてきた。ホント都合よくね。私は貴方に真の桃太郎を殺す事を命じた。それは鬼神様が『最も嫌う事』だったから。だから鬼神様は貴方達を嫌うようになった。そしてここまで来た」
十日菊は瞳孔を見開き赤い目を申丸に向ける。
「何故お前は私の思い通りにいかさせてくれない!何故お前は鬼神様に好かれる!鬼神様…鬼神も狂ったものだ!『ヴィズィタント』という者に復活させれてから昔の恐怖のオーラが感じられない!だから私がここまで頑張っているのに!」
申丸の足元が更にひび割れ、
「死ねぇ!クレ=タタっっっっ!!」
十日菊の怪力に負け、吹き飛び、入り口の扉まで吹き飛ばされる。
ピコハンが申丸の懐から零れ落ちる。
申丸はピクリとも動かない。
「ははは、はははは!ふははははは!これで鬼一族は昔の栄光を取り戻す!」




「……申丸!?」
廊下を走っていた桃太郎はふと走るのをやめ、マントが服に張り付く。
嫌な身震いがした。
桃太郎はあの後、和双と明崎ノ介と三人で大鬼を退治し、三人で申丸の元へ向かうはずだった。
だが、全力を出した和双のエネルギーが切れてしまい、このまま鬼の援軍が来てしまったらまずいという事になり、明崎ノ介が和双と待機することになったのだ。
そして桃太郎は今、不安になった。が
「まさかじゃないが…。いや、まさかであってほしい」
そう祈った。




「やっぱり、テメーは誇るべき鬼だよ」
「!?」
急に申丸の声が聞こえ、高笑いをやめる十日菊。
見ると、申丸は血を流し、傷だらけのズタボロになった体で立っていた。
その手には巨大ピコハンが。
ズルズルと重たいピコハンを引きずりながら十日菊に迫る。
「人間にも恐れられ、同士にも容赦なく、孤独にも一人で目的を果たした」
「な、何故生き返る!死んだはずでは…!」
申丸の言葉にも耳を傾けず、珍しく焦る十日菊。
「この場合悪魔として褒め称えるべきだが、悪魔と鬼は一緒だもんな」
十日菊と同じように申丸も相手の言葉を聞かず、ズルズルとピコハンを引きずりながらゆっくりと歩く。
「く、来るなぁ!」
焦りが止まらずついに後ろへと後ずさり、背中を向けて逃げる十日菊。
それでも歩くのをやめない申丸。
「俺はお前に怒りを持っている。落ち着きたいつもりだが、怒りがあふれ出しすぎて体が勝手に動くんだ。――――――最低な奴だ、と」
少しづつ十日菊と申丸の距離が縮まってゆく。
十日菊はついに壁にぶつかり、逃げ場を塞がれてしまう。
「ひ、ひぃっ!……!わ、私を殺しても意味は無いだろう?それにそんなおもちゃで私を倒せるとでも?」
「最低な奴だ、とか酷い奴だとか、そんな事しか思いつかないんだ。そんな事言っても、鬼にとっては褒め言葉なのにな」
もう距離はいつでも殴る事ができる距離となっている。
「そ、そうだ!お前、病を治したいといってたな!なら薬をやろう!今持ってるんだ!ほら!」
十日菊はいつもの冷静さをなくし、笑顔も失い、ひたすらに命を乞う。
「ついでに今までの罪も帳消しにしてあげる!今度は本当だから!な!だから……ひぃぃぃ」
言葉はもはや申丸の耳には届かない。
申丸はゆっくりと重たい巨大ピコハンをゆっくりと振り上げ始めた。
体がきしむ音がし、ガクッと体が倒れそうになったが何とか元の体勢に戻しそして、

「きゃああああああああああっ………!!」

十日菊を潰した。


「はぁっ…はぁっ……」
申丸はピコハンの柄を握ったままの体勢で立ち尽くしていた。
体のあちこちが痛い。意識も吹き飛びそうだ。
もうこれで俺も終わっていいよな?
そう思って後ろに倒れた。
しかし地面の硬い痛みは感じず、体が浮いているような感じがした。
「大丈夫か、申丸!」
「エロ………モモ…」
そうだ、エロモモがいる限りは死ねない。死ねないって言ってもなぁ……。
人間の体じゃなかったらこんなのすぐ治るんだろうけどなぁ。
「まーしーらーまーるー!ホント大丈夫か!?」
ゆさゆさと申丸を揺らす桃太郎。
「だ、大丈夫だ。っていうお前こそなんて格好してるんだ。まるで……」
「うん、吸血鬼。黙ってて悪ぃ」
「……もうつっこむ気力も無いんだけどな……。折角お前と同じ『人間』なんだって思ったのに…」
申丸は瞳を閉じながら笑みをこぼした。
「なんか死亡フラグみたいなの立てるなよ!とりあえず病院行こうぜ。皆ズタボロなんだよ」
そういって桃太郎は申丸をお嫁さん抱っこしたまま立ち上がろうとした。
「無理なんだ……、皆のところに行くのは……」
「な、何?恥ずかしくて会いにいけない?……って訳でもなさそうだし」
桃太郎は冗談をかましたが、声が潤んでいた。
「ああ。よくここまでここに居れたって思うよ。我ながら」
申丸も声が潤んでいた。それと同時に体が透明になってゆく。
「ちょ、ちょまてよ!急に死ぬなよ!」
柄にも無く焦る桃太郎に申丸は笑顔で笑う。
笑ったときに一筋の滴が申丸の頬を伝っていった。
「あっはっは。……無茶言うなよ。エロモモがいつものような変態発言したら復活してやるよ」
「きゅ、急に言われてもなぁ……。じゃあ復活したら腐男子の何たるかを手取り足取り腰と…………」
桃太郎がうーんと考えている間に支えていた手が軽くなった。
見れば、申丸が消えていた。
音も無く静かに消えていった。
「……申丸……?」
辺りを見渡しても申丸の姿は見えない。
「申丸っ!」
桃太郎は大切な人の名を叫んだ。
それと同時に桃太郎の辺りが輝き、白い世界に包まれた。


「―――っ!……お前は」
桃太郎は白だけの世界に目を細め、そして目の前にいる赤く輝いている鳥に気づいた。
「火の鳥…不死鳥だったのか、明崎ノ介」
火の鳥は瞳を閉じ、一声鳴くと人の姿―――いつもの明崎ノ介の姿になった。
『気づいたのはお前が始めてだ、モモタロー』
「へぇ。威厳ありそうな喋り方もできるのか。……それより、お前とかまっている暇は無いんだが」
軽くあしらわれ、明崎ノ介は笑みを浮かべる。
そして手のひらを胸の前に出すと、光輝く球体が現れた。
『これはマシラマルの魂。今からこれをあの世に運ぶ』
「……!」
至極あっさりと重要な事を言われ、桃太郎は驚き、何か反論しようとしたが黙りこむ。
「悪い。復活させてくれって言うところだった。いくら『仲間』だとしてもお前はそれを許しそうな顔してないしな」
『よく理解しておるな。だが、マシラマルはそれを承知でお前を復活させるように私に頼み込んだ』
ゆらゆらと揺れる申丸の魂を見つめながら明崎ノ介はそう返した。
「オレの復活はお前が申丸に頼まれてやったって事か?」
『そうだ』
なら何故明崎ノ介は申丸を復活させてくれないんだ?
その桃太郎の悩みは明崎ノ介が答えた。
『マシラマルはある条件をつけてモモタローの復活を頼んだ。その条件は
「自分の命と引き換えに桃太郎を復活させる事」』
えっ……。
「嘘だろ?それなら何でさっきまで申丸は生きていたんだ?オレを復活させたら申丸は死んでるはずじゃないか!」
確かに桃太郎の言うとおりである。
桃太郎と会話できてから命を渡すという条件だったなら分かるが、そこまでの事を明崎ノ介は許可したのだろうか?
『私もその事に関しては上手く表現できない。しいて言うならば、マシラマルは「精神状態だけで先刻まで存在していた」のかもしれない』
「精神状態?」
『マシラマルは命を渡したのだが未練が残って死んでも死にきれず、精神体……幽霊として戦っていたのかもしれないという事だ』
明崎ノ介は申丸の魂から桃太郎へと目を移し、見つめる。
『それだけお前の事を愛していたのだろう』
その言葉に桃太郎は目を丸くしたまま頬を赤める。
桃太郎は自分をここまで愛してくれる人がいなかった。
それ故に他人に愛を求めたが、自己表現力がおかしかったのだろう。
誰もが桃太郎のことを『変人』扱いしていた。
そのため、桃太郎はいつしか二次元の愛しか見る事が出来なかった。
そしておじいとおばあに言われ旅に出て、申丸に出合った。
申丸はやはり桃太郎を『変人』扱いしていたが、それでもその愛を受け止めてくれた。
「………申丸……」
桃太郎は明崎ノ介が持つ申丸の魂の元へゆっくり歩み寄り、
「……」
魂を触れようとして、そして
「……駄目だ。つまらない事しか言えねぇや…」
声が震えていた。嗚咽が漏れそうになった。
「………下ネタが…思いつかない…わ……」
目の前がぼやけて見えた。目頭が熱い。
久々に忘れていたこの感覚。
「…ホント……悪ぃ…。申丸……」
こんな恥ずかしい顔を見せまいと思わず俯き、そして魂から何かが聞こえた。
『―――謝る必要はねーよ』
申丸の声だった。
驚いて顔を上げ、それでもこぼれる感情に唇を必死で噛む桃太郎。
「ま…申丸……」
『―――ふざけた顔しやがって。いつもの十倍はふざけてるぞ』
その声はいつもどおり、ツンツンしていたが何故か「あたたか」だった。
『―――ったく。泣くなよみっともねぇ。そんな顔じゃおちおち成仏もできねーよ』
「……わかった。じゃあずっと…このままの表情でいるわ」
もう少しここに居て欲しいという桃太郎のわがままに申丸の魂は揺れる。
『―――成仏させてくれないのかよ、まったく!呪うぞ!』
「…はいはい。……じゃあ最後に言わせてもらうな」
桃太郎は少し俯き、そして申丸の魂にニカッと笑って見せた。
「……結婚してくれ!」
申丸の魂はズテッとずっこけたような動きをした。が
『―――来世でも変態発言聞かせてくれよ!』
「早く生まれてこいよー!オレだって長生きできるかわからねーんだから!」
そんなふざけ合いをし、お互い大声で笑った。

そして魂は輝いて光の粒子となって消えていった………。

それを最後まで笑顔で見送り、桃太郎はいつの間にかこぼれていた涙を拭き、明崎ノ介を見つめた。
「またお前空気になってたな。悪い」
『………謝る必要は無い』
それより、と明崎ノ介は桃太郎を見る。
『お前にはまだもう一つ知るべき事がある』
「何だ」
『この後お前は鬼神の待つ部屋の前で目が覚めるだろう。お前が桃太郎である限り、お前は鬼神を倒し、鬼を滅ぼさなければならない』
「つまり、鬼神と戦って来いって事か」
『そうだ。私から言えることはこれくらいしかない』
「十分だって。じゃあ早く意識目覚めさせてくれよ」
そういって桃太郎は明崎ノ介の前で胡坐をかいた。いつでも帰る準備オッケーです。
『了解した』
そして桃太郎は白い空間から消えていった。
『知るべき事をお前は背負える事ができるだろうか……』
白い世界は少しずつ砂のように消えてゆく。そんな中明崎ノ介はその様子を見つめながらそう呟いた。



「プルァ!オレ覚醒!」
気が付くと桃太郎は十日菊と申丸が戦った部屋の中にいた。
そして桃太郎の視線は鬼神が待つといわれる部屋の扉。
申丸が使っていたピコハンを拾い上げ、扉の前へと歩み寄る。
すると扉の向こうから鬼神のオーラが感じ取れた。
苦しくなるような威圧感。そして底知れぬ邪気に身震いがする。
それでも立ち向かわなければならない。
桃太郎は扉をゆっくりと開けた。
軋む扉の轟音に耳が痛くなりそうになるが、そこで待っていた鬼神らしき姿を見て絶句した。
「お…おじい!それとおばあじゃないか!」

そう、川で捨てられていた桃太郎を育ててくれた命の恩人、おじいとおばあが待ち構えていた。

一瞬幻覚かと思い、目をこすり頭を叩くが目の前で玉座に座っているのはおばあ、その隣で立っているのはおじいだった。
「な、何でこんな所に居るんだよ…。おじい、おばあ」
流石の桃太郎も動揺を隠せず、声が震える。
おばあとおじいはお互いに視線で会話し、おばあが口を開いた。
「何でと言われても、全て狙っていたものなのですよ、『桃太郎』」
あまりにも落ち着いたおばあの反応。
「ドッキリとか狙ってたのか……?だとしたらふざけるなって感じだけど」
桃太郎は負けずに冷静に言い返すが、声には不安がこもっている。
「そう怒らないでくれ、桃太郎。我々はヴィズィタント様の計画を協力しただけ。桃太郎と戦うつもりは無い」
「……ヴィズィタント?聞いたことがない名だけどな」
「知らないとは恐れ多い。桃太郎よ、『人来戦争』の事は知っているな?」
桃太郎はゆっくりと頷く。
人来戦争。まだ桃太郎が生まれたばかりの頃に起きた「人類の未来をかけた戦争」である。
人間の存在に怒りをもった神が人類を滅ぼそうとし、『英雄ハナ』とその仲間達が神と戦い、ハナ…人間側が勝ったという戦争である。
「人来戦争の神は現在転生して生まれ変わり、ヴィズィタントと名乗って人類を見守ってくださっている」
「復活……したって言うのか…?」
頷くおばあ。
「ヴィズィタント様は人間に新たな期待を込めて、鬼を復活させた。人間の罪深き生き方を治すために。だから復活した」
信じられない事実が次々と出てくる事に桃太郎は驚くことしかできない。
「何故鬼を復活させたか分かるか、桃太郎よ?答えは簡単だ。『桃太郎』という存在を生むためであり、『桃太郎』に人類の未来をかけたのだよ。……だが、しかし」
おばあはそこで瞳を閉じ、話を切り、深くため息をつく。
「しかし、たった今その計画は失敗した。ヴィズィタント様が望んでいたものとは違ってしまった。それはお前のせいでもあるのだよ、桃太郎」
瞳をカッと開き桃太郎を睨むおばあ。
「そのヴィズィタントって奴が一体何をオレ達に求めていたってんだ?ヒントも無しにオレらに何を考えろと?」
桃太郎は真剣に問う。
それに答えたのはおじいだった。
「答えては人間の為にならん。我々はただ試練を与えるだけ、だ」
おばあもおじいの言葉に続く。
「人間が答えを見つけるまで我々はヴィズィタント様と共に試練を与え続けるだろう。それが嫌ならば答えを見つけてみせよ」
二人の冷静沈着な態度にピコハンを強く握り惜しめる桃太郎。
「神様と協力してるからって随分と人間様を見下すんだな。これ以上人間に何を求めるつもりだ。それを人間が見つめるまでは神様は何をしてもいいってのか?人間を悲しませ、憎しみに満たせて、武器を持てって言うのかよ?お前らだって人間じゃないか!」
おじいとおばあはそう言われ鼻で笑い、言い返した。
「人間とは言えない力を持っていても、我々を人間と言うのか?」
そうおじいが言ったと同時に、おじいとおばあの小柄な姿がどんどん変わってゆく。
やがておじいは白髪の少年の姿に、おばあは
「……母上…だと……?」
桃太郎の知っている母上―――桃太郎の本当の母親に姿を変えた。
「僕の名は蒼十郎(そうじゅうろう)。隣の女性は君の言うとおり君のお母さんさ」
そう少年は余裕にも挨拶をし、桃太郎に微笑みかける。
「さて、こんな化ける力を持つ僕達をそれでも人間と呼べるのかな?」
黙り込む桃太郎。蒼十郎の事より、自分の本当の親が目の前に居る事で焦りと怒りを堪えるのに精一杯だった。
「別に本当の気持ちを出しちゃえばいいのに、『桃太郎』。会いたかったでしょう?」
母親がそう怪しげな笑みを浮かべた。
桃太郎には自分を、大切な友達(ヒト)を捨てたあの辛い過去を思い出し、
「……おばあになってオレとリーゴを代わりに育てたつもりか……?」
ようやく搾り出した再会の声が出た。
「まあまあ、折角老人に化けてまでして育ててやったのにその怖い顔は何?お前の願いを無事に叶えてやったのだから感謝してくれない?」
腕を組んで桃太郎をなだめる母。
むしろ挑発にしか見えないその言動に、桃太郎はついに雄叫びを上げながらピコハンを構えて自分の母親向かって走り出した。
ピコハンを相手の側面向かって振るったが、それは高く飛ばれ見事に外した。
そのまま後ろにも振ろうとしたが自分の頭に敵の足が乗り、そのまま器用に地面に押さえつけられた。
「怒りをこめるのはいいけど、いつものように冷静になってくれないかしら?ってベタな発言よね」
更なる挑発に桃太郎はピコハンを振ろうとしたが、ピコハンを持つ手を踏みつけられ痛みをあげることしが出来なかった。
「ねぇ、僕だけ話が読めないんだけど教えてくれない?」
蒼十郎はその人間離れした戦いを一部始終見てため息をつきながら尋ねた。
踏みつけた足を地面に戻しながら彼女は説明する。
「ああ、貴方は知らなかったわね。というか興味が無くて知る気が無かったのかしら?」
「まあそうだけど、今から興味が湧いてきた」
そう、と母親は呟くと静かに語り始めた。
「この子、吸血鬼でありながら人間の子と仲良くなっちゃたの。その子が貴方と一緒に育てたもう一人の桃太郎有力候補、リーゴね。リーゴの親は代々有名な騎士として力を受け継がれていたのよ。そしてその騎士はいずれ私達吸血鬼を滅ぼすつもりだった。だからこの子にけじめとしてリーゴ達一家を殺させたつもりなんだけど…」
そこでチラリと桃太郎を見て話を続ける母親。
「…ちょっと失敗したらしくてリーゴを連れて帰ってきた訳。その上、一緒に暮らしたいとか言ってビックリしたわ。相手は人間、私達は吸血鬼。しかもいつ仇討ちされるか分からない。だから私はこの子達を捨て、『おばあ』が代わりこの子達を育てた。以上」
「ふーん……。一家が滅ぼされないように被害を最小限に抑えた結果が現在に至るって感じ?」
「そんな感じね。桃太郎としての実力もありそうだったからその場で殺すってのも勿体無かったし。……さて、この後どうしましょうかしら。ヴィズィタント様に相談しなきゃ」
蒼十郎はこれからの重要な話に脳内を切り替える。
「そうだね。とりあえずどのように動くか、検討しておかなくちゃ」
母親は桃太郎から離れ、桃太郎の両肩を掴み立たせる。
「貴方にはこれからも、桃太郎を続けてもらおうかしら?人間を導く存在として。それとも我が『ハンドレット家』にふさわしいような行動をしてもらおうかしら?」
「………」
桃太郎は黙ったまま、ただただ痛む拳を血が滲むほど強く握っていた。
「……お前らの目的が何だか知らねぇが、これだけは言っておく……」
ボソリと小さく、しかし力強く呟く桃太郎。
「……お前らの思い通りに人間様が動くと思うなよ。デト、蒼十郎」
「はっ。言ってくれるじゃないの、人間じゃないくせに」
デトと呼ばれた母親は桃太郎を蹴り飛ばし、鼻で笑って見せた。
桃太郎は吹き飛ばされ、壁にめり込み崩れ落ちた。
しかし、顔だけは笑っていた。いつものようにいやらしい笑みを浮かべて。
それを見て安心したのかそれとも何なのか、デトも満足そうな顔をすると、蒼十郎と共に闇に紛れて消えた。

「――――――今度私に歯向かってきたら、抱きしめてあげるわ。ミティ」







「桃太郎さーん。ちょっとお願いがあるんですけどー」
桃太郎の部屋に和双の声が響いた。
パソコンで恋愛ゲームをしていた桃太郎は「今いいところなんだけどなぁ」と思いつつ和双の下へ行く。
『鬼神』と別れてから二週間が経とうとしていた。
鬼源城から出てきたのは桃太郎と和双のみ。
明崎ノ介はあれから探してみたが、結局見つからなかった。赤い羽根を残して。

鬼はまだ完全に滅んではなかった。
まだ生き残りが多少居るらしいが、目撃者は少ない。
鬼を統べる鬼神が消えて鬼達はどうしたらいいのか迷っているのかもしれない。

そして今、桃太郎は和双と共に「おじいとおばあと暮らしていた」村で静かに時を過ごしていた。

「どうした、和双。つい最近オレが同人誌描いてるって事に気づいちゃった?」
「いえ……。ってそんな事してたんですか。あのー、洗濯機が壊れちゃってですね。近くのコインランドリーまで行ってきてくれないでしょうか?」
そう言って和双は洗濯物が入った洗濯籠とお金を桃太郎に渡した。
「僕はこれからアルバイト行ってくるので、洗濯物畳んでおいてくださいねー」
和双はそう仕事を押し付けて家から出て行って、
「あ、鍵掛け忘れないでくださいよー」
バタンとドアを閉めてさっさと行ってしまった。
すっかり一般庶民というか、おかんになってしまったいる和双に桃太郎は軽く笑うと、コインランドリーに向かった。

桃太郎はコインランドリーに着き、洗濯物を入れ、待っている間に物憂げに何か考え事をしていた。
英雄ハナ、神ヴィズィタント、人来戦争、母上デトと蒼十郎、そして……申丸の死。
自分が生まれた時におきた事件だが、まさかこんな形でその事件を深く学ぶとは思いもしなかった。
インターネットで人来戦争について軽く検索をしてみたら、そのほとんどはその出来事を語ろうとはしていなかった。
いや、今は深く考えないでおこう。
確か英雄ハナはまだ生きていると聞いた。いつか会いに行けばいい。
それまでは……疲れをを癒したい。
そう考えている間に、洗濯物が乾いたとブザーが鳴った。
「……さてさて、早くカコちゃんの続きを見なきゃなー。確かもうすぐ選択権来るんじゃなかったっけか?」
そういって桃太郎はすっかり乾いた洗濯物を籠の中にいれ、洗濯籠を持ち上げようとした時、
「ふんぬらば!……あれ?何か持ってきたときより異常に重いんだけど……」
誰か他の洗濯物だったかなーとか思って洗濯籠の中を漁ってみると、
「っぷっはぁ!……ん?ここどこだ?」
洗濯籠から見覚えのある人物が頭をひょっこりと出して現れた。
金髪のツンツン頭が辺りをきょろきょろと確認し、桃太郎を見て
「ってエロモモ!?どうしてここに!」
呆然としている桃太郎に間違ったツッコミをした。この場合ツッコミではなくボケの分類に入りますね。
「……あえて『コッチが聞きたいわ』とか言うの無しで。……どうやってこの洗濯物の中に潜入した?」
頭に桃太郎の下着を乗っけたままその男は首をかしげる。
「潜入も何も、俺は火の鳥に空から突き落とされて、海に落ちて、なんとかもがいて水中から顔出せた…はずなんだけど」
「今度はベッドの上で泳ぐか?申丸?」
「だっ、誰がエロモモのベッドで泳ぐかコノヤロー!」
久々のやり取りと共に桃太郎は申丸のストレートパンチをお見舞いされた。
桃太郎はマゾに目覚めたかのように嬉しそうな顔して食らったとさ。

そしてその様子を空から見守っている赤い鳥がいたのを、二人が気づくことはなかったそうな。

「モモタロー、マシラマル、ワソウ。ミー達の戦いは、まだまだ続くネ。今だけ、ハッピーになっててヨ……」




おしまい。



・あとがき
フトモモとシリーズ無事完結!!キャホ!
キャホじゃないよ!淋しいよ。もうエロネタが書けないかと思うと淋しいよう(つд`)
いつもは大人しいのに時にがっつく和双君とか、ツンデレ?いやツンツンデレ?作者初ツンデレキャラ?な申丸君とか、みんなのアイドルおよびシリアスシーンでは一番動きづらいエロモモさんとかとお別れなのかよぉ!
あれ?誰か忘れてるような(笑)
時にお別れも必要なんですよ、人生ってもんは。

本当は六月編の後に和双君が活躍する七月編も予定していたんですけどね、何が狂ったのか、結局ラスボスの元へとたどり着いちゃったわけですが。
ほぼ打ち切り気分です。漫画家が打ち切りされた時の気持ちが今なら分かるような気がする。

結局ラスボスは倒せてない話だし、ラスボスの上に更に偉そうな奴が居るって話しだし、リーゴさんが無事に男に戻れたのかも分からないし、和双君がキジさんより空気になっちゃったし、実は主人公には妹が居て妹が四天王に殺された話とか、四天王のうち今戦っている人は一回刺しただけじゃ死なないとか、もうサイアークじゃないですか!
これじゃあ読者もスッキリしないよ!何だこの逆爽快感!
これじゃあいつも以上に「!」マーク付けたくなるよ!「!」マークを十個付けるとか!

ぶっちゃけノリで書いて始まったのがそもそも間違いだったんだorz
いや、ノリと言うより元々キャラ設定とかは考えてたんですけどね。ホンマ。
一体何を書きたかったのでしょうか、この作品。

実は蒼十郎とヴィズィタントはこの小説を書く前に、手書きで書いていた小説「THEノート」シリーズの人物なんですよ。言わば「THEノート」シリーズの続編がこの「フトモモと」シリーズと言ってもいい。
で、「フトモモと」シリーズが中途半端に終わったからまた更に続編が出来る?みたいな。
つかもう考えてあるんだけど。英雄ハナと神ヴィズィタントの戦い完結編。つまりTHEノートシリーズ完結編。
でもその前に、この「フトモモと」シリーズの事、特に和双君中心話とかラスボスの目的とか書きたいじゃないですか!書かずしてどうする!

つまりあれです。「待て、次回!」ってやつですね。
次回作者がどうなっているかはワカリマセン。
THEノート完結編書いてるか分からないし、フトモモとシリーズじゃなくて「エロモモと」シリーズとか作ってるかもしれないし、手書きTHEノートをリメイクしているかもしれないし、まったく別のを書いているかも知れない。

あれですね。作者のお気に入りの小説が次巻で完結するとか載ってて「(´゜д゜`)」ってなったショックを皆さんも味わっていると思いますが、人生に別れはつき物。
「エロモモさん達が無事にラスボスと決着付けているだろう」と願いながら毎晩過ごしてくださると作者冥利に尽きるっていうか。

でわ、またいつか。




いつか使いたいネタ。
・死の赤いリング
・「跪け、腐女子の妄想力に!」
・「私のドリルがぐるぐるしちゃうの〜」
・↑アチャ子かw
・運動会プロテインパワー
・「エロモモを守るために生きたい。でも生きるためにはエロモモを殺さなければいけない」
・凄い鉄板!
・「さすがタクさん。凄ぇ武人ゲット♪」
・(上が無理なら)オーセノ=トーリニー
・(更に無理なら)「ハッピーターンの粉じゃなくてこれ粉バナナじゃないですか!!」
・押して駄目なら押し倒せ

・おまけ
シンVSカイ(だっけか?)の曲が入ってて「ドゥラゴンインスゥトォォォル!!」みたいなポーズで興奮する鳴草。

・おまけ2
某有名曲さくらんぼ聞こうとCD入れたらメディアプレイヤーで再生されないっっ!
ちょwwwリピートとかどうすんよwww

・おまけ3
リピートの仕方が分かったがリピートされない罠。
桃ノ花ビラ永遠リピートしたいのにorz
これはアレでしょうか?ようつべとかニコ動で探した方が早いって事でしょうか・゚・(つД`)・゚・

・おまけ4
駄目だ。ようつべもニコ動もあるけど『ない』。スタジオライブバージョンがいいんだヨ!!
我慢して手動リピートしておきます(´д`)

・おまけ5
手動リピートが面倒だったんで仕方なくCDラジカセを持ってくる。
音量の調整に苦戦中。

・おまけ6
いっちいっち。いっちっち。いっちいっちいっちっちー♪

・おまけ7
後半話が無理やりすぎるorz
感動シーンとかがいまいち上手く表現できない件について。大事なシーンはほとんど駄目だな(0w0)


・NG集
『「クレとトトへ。二人とも大嫌いです。だから探さないでください」』
『本当にパパもママもどっか行っちゃったの?』
『b』

・NG集2
「後悔をすること。それすなわち約束を破る事。wwwww天然芝wwwwww」

・NG集3
「プルァ!オレ覚醒……!ってォゥァー!(パタリ」

・NG集4
「ああ、貴方は知らなかったわね。というか興味が無くて知る気が無かったのかしら?」
「右上……何故旅立ってしまったんだ…。いつか左下に帰ってくるって言うけどそれは右上じゃないよ……orz」


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【2008/11/12 11:05】 | フトモモと最終月 トラックバック(0) |
最近疲れがたまってもう白旗降伏状態なんでしばらく休ませてもらう。
ホントサーセン。

じゃあゆっくり見てってくれ。
一挙公開なのでとにかく長いので注意。


拝啓 お兄ちゃんへ
桜の樹、すっかり緑に染まっちゃったね。
ピンクの方が好きだったや。
可愛くて、綺麗だし、優しそうな色してるし。
でも、トトと一緒に住んでいる皆はこう言うの。
「お前も早く花と一緒に散ればいいものを」って。
言われた時、泣きそうになったけど、お兄ちゃんが必死で泣きたくなるほど頑張ってるのに、トトが泣いちゃったらお兄ちゃんまで悲しむから、今は泣かないって我慢したよ。
お兄ちゃんはトトを褒めてくれるのかな?

お兄ちゃん、無理してトトの為に死なないでね。
お兄ちゃんが死んじゃったら、トトは……。

この後村のヒトのお手伝いするんだ。がんばるよ。

早く病気治してまた一緒に遊ぼうね。

 トトより


その手紙を読んだ男は静かに手紙を封筒にしまうと、颯爽と外へ足を踏み入れた。



『―――梅雨入りに入ってからもう一週間経ちましたね。今日の空も心が瓶覗色に染まりそうな天気です。でもこういう日こそ、アイアイ傘の出番です!大好きな人と共に心も体も滴で潤してあげてみましょう。ただ、男の子は突然お漏らししちゃって女の子をガッカリさせないように気をつけましょう、性的な意味で。続いては――――』
「どんな天気予報だよコレ」
いきなり後ろから申丸の清々しいツッコミが入り、カップアイスを食べながら宿のテレビを見ていた桃太郎は振り向く。
「どうって、大人向け天気予報だけど」
いたって当たり前ですが、何か?見たいな顔をしてさらりと答えるいつもの桃太郎に慣れてしまった申丸はため息を付く。
ちなみに天気予報士のお姉さんはビキニ姿で天気を教えてくれている。青と白色のチェック模様が可愛らしい。
「オレ的には紺スク水かビキニって言われたらビキニを選ぶな。一番は白スク水だけど」
「お前の意見なんて聞いてねーよ。つかまた有料番組頼んできたのかよ」
桃太郎達は山を下りた後にたどり着いた町で、雨宿りと鬼退治ついでに旅館に泊まっていたのだ。
和双と明崎ノ介は旅の必需品を補充しに出かけ、桃太郎と申丸は宿の手配をして現在こんな感じ。

しかしこの町で一番安く、更に値切ってもらってようやく泊まれた状況で、有料番組を堂々と頼む桃太郎にそろそろ顔面パンチをしたくなってきた申丸。
この二人で行動させようとした奴。前に出ろ、前だ。
「あのなぁ、ちょっとは働いてみようとかお金稼ごうとか思わないのか?」
申丸君、無謀な質問を桃太郎に問いかけるの巻。
ちなみに桃太郎という職業は、鬼を退治したという証人と倒した鬼の角が存在している状態で、証人がお偉いさんに角と共にその桃太郎の業績を報告すれば、その桃太郎の銀行口座にようやくお金がもらえるというややこしそうで、あっさりとしたやり方である。
だがこのエロ桃太郎は今までロクに鬼を退治せず、ようやく桜の木の妖怪を倒したとが、証人が居ても鬼の角がなければマネーは渡しませんという、日本らしい矛盾のルールで申丸達にお金は一銭も届いていないのだ。哀れ。
そろそろ某万事屋とかベイビーイェアの人状態になってきた財布の為に、申丸が無謀な質問をしたくなるのは分からないわけでもない。
皆もこんな桃太郎にならないようにね☆
「いや、別に前回俺は皆に『鬼退治はできない』って言ったじゃん。でもお前等許してくれたじゃん。あのときの感動を申丸君は忘れたというのかね?」
「……忘れてない。でも、だからと言ってやらないのはすっげぇ困る」
「ですよねー」
「自覚してるなら、鬼退治頑張ってくれ。分かったな!」
「………………」
返事が無い桃太郎。
やっぱり働く気ないんだな、よし殴ってやると思った申丸に意外な一言が桃太郎から漏れた。
「この辺りにゃ凶暴な鬼がいて、この町もそろそろ狙われるって聞いたな……」
いきなり真面目な事を言ったのでビックリする申丸に気づかず、桃太郎はテレビを消し、立ち上がった。
「いっちょ、出かけますか」




武器はピコピコハンマーとエロトーク、意外と強いぞ桃太郎。
武器はミサイルと加速装置とレーザービームと自己修復機能のサイボーグ和双(わそう)。
武器は己の肉体のみ、性的な意味ではないよの申丸(ましらまる)。
武器は詫(ワビ)と錆(サビ)の二刀と究極の地味での無双明崎ノ介(あかさきのすけ)。



長年の時を得て何故か復活した鬼一族は人々をまた襲撃し始めた。
しかしこの時代には勇者も英雄も存在せず、そして勇気を持って立ち向かおうとする人間もいなかった……。
次の村を目指すために山道を歩いていた桃太郎御一行は、ウンタラとカンタラという鬼に出会う。
その鬼達は明崎ノ介に桃太郎を殺すように命じ(結局言う事を聞かなかった)、仲間同士の戦いが始まった。
明崎ノ介は桃太郎の強さを試すために戦ったが、桃太郎の仲間を思いやる強い力に感涙し、無事に和解した。
その後ウンタラとカンタラを退治(?)し、そして今回。
桃太郎さんが真面目になってしまったぞ?
この小説の運命やいかに!?
明「何かモモタローからフラグが見えたネ。多分噂の死亡フラグ?」
申「いや、死亡はしないと思いますけど!?」





その頃、桃太郎達のいる町から少し離れた、高層ビルの上に一人の人間が立っていた。
いや、ビルではない。
高層ビルになるほどの沢山の化け物の死体だった。
「………こいつらからは血が一切出てこないのか」
そんな残虐的な言葉を呟き、人間は立ち上がった。
「だがもういい。アイツを倒せば呪いは解ける。そうにきまってるはじdふぁ…」
かっこいいことを言っていた人間は言葉を噛みました。ざまぁwww
「こうやって噛んだのも全てアイツのせいだっ…!そうに決まっおる!」
いや、作者が打ち間違いしただけです。何でもかんでもアイツのせいにしないでください。
とにかく、その人間は横に伏せておいた巨大な武器を背に担ぐと、死体の山から、高層ビルの高さから飛び降りた。



「で、何処へ行くんだ?鬼の集落は反対側だぞ」
申丸は、急に真面目な顔をしてズンズン歩いていく桃太郎にただただついていく事しか出来なかった。
ちなみに旅館の人に「唐傘で顔隠れてる貧弱そうな奴と赤髪でアホッ面のショタが来たら、出かけてるから自由にしてろって言いながらボッシュートしておいてください」と頼んだので、和双と明崎ノ介は桃太郎を探しにくるか、旅館で待機してくれるだろうとアバウトな事を考えてる申丸。
「何処って言われても、気が向くままに。何つーか、オレの超美的センサーがビンビン感じてるんだよね、『この辺りに当たりが居る』って……」
「ついにお前、オヤジギャグまで使うようになったか。後そのセンサー、お前が言うとエロいモンしか思いつかないんだが」
「あえてそう思わせるように言いました!」
「親指立てて爽やかな笑顔で言ってもお前が変態なのは変わりないからな。つかだんだん小走りになってきてねぇ?」
申丸の言うとおり歩くスピードが小走りになってきて、町の人ごみに消えようとするかのように進む桃太郎。
「気のせいだ。なんつーかお前が後から足音立てながらついて来るから怖いんだよ!足跡が一つ多く聞こえるんだよ!」
「ついに現実と二次元の区別がつかなくなったか!」



そんな感じに騒いでる桃太郎と申丸を観察している奴がおりました。
「ダーリン。ここであの桃太郎を殺せばいいと思う?それともやっぱり人気が無いところ?」
「ワシ的にはここに居るやつら皆殺したいが……。あの桃太郎を追いかけとる金髪の男にまた殴られたくない…」
物陰からこそこそと移動しながら殺し方を相談中のウンタラとカンタラでした。
騒いでる桃太郎と申丸も住民の的となっておりますが、こそこそとでっかいダンボールに隠れながら進むウンタラとカンタラも住人の注目の的です。
ダンボールじゃなくてドラム缶にすれば問題ないかと。『ドラム缶ローリング文化アタック!』とかすればイチコロですよ。
「う〜ん……じゃあ何か人質とかいたらいいのにねぇ。もういいわ!走るのに夢中になっているうちにサクッとやっちゃうわよ!」
「で、でもやっぱりあいつら…」
「男の鬼ならシャキとする!」


戻って桃太郎側。
「一体いつまで鬼ごっこしなきゃいけないんだよぉぉぉ!」
「だって何か臭うもん!嫌な臭いがするもん!何かまだ保育園・幼稚園の頃に嗅いでいた臭いを思い出すようなもやもや感がするもん!」
まだ走り続けている桃太郎と申丸。BGMはランナーで決まりですね。七月辺りに24時間テレビの走る奴ありますよね。
そろそろ人ごみも抜けてきて、走りやすくなったなと思ったその時!
「きゃあっ!」
「あびし!」
出会い頭に誰かと桃太郎がぶつかった。
相手は体の軽さと勢いで尻もちをついたが、桃太郎は踏みとどまる。
これ、車だったら大騒ぎでしたよ。
「いたたたた……ご、ごめんなさい。大丈夫ですか?」
「ああ、なんともない。そっちこそだいじょ……!」
桃太郎は倒れた相手を見て手が震える。
相手はベタなことに女の子だったのだ!ベタなことに!(大事な事なので二回言いました)
赤と緑色のオッドアイと鼻にちょこんと乗ったメガネが可愛いです。
今時こんな始まり方をする少女漫画はあるのだろうか?とか思いつつ桃太郎は女の子に手を差し出す。
「大丈夫?子猫ちゃん」
「え?あ……はい」
女の子もベタな展開なうえに、相手がイケメンだったからかかなり頬が赤いです。
女の子が手を伸ばそうとしたその瞬間
「もももも桃太郎、覚悟ー!!」
ウンタラとカンタラが桃太郎向かって走り出してきた。
「あ、ダーリン!丁度人質にぴったりの人間が居るわよ!そいつを利用するわよ!」
「りょ了解、ハニー!」
ウンタラが更に加速し、女の子を捕まえようと手を出すが、
「がふうぅぅぅぅ〜……」
「ダーリン〜!!」
あっさり桃太郎の本気用ピコハンによって吹き飛ばされてしまった。
「大丈夫?子猫ちゃん」
本日二度目の台詞を女の子に投げかける桃太郎。
「あ……はい…」
いきなりいろんな事が起きすぎて混乱していると思われる女の子。オロオロしています。
「女の子パニクってんじゃねーかぁぁぁ!」
申丸の飛び膝蹴り!
桃太郎に命中し、三メートルくらい吹き飛び転がり崩れる。
「ごめん、こいつ軟派野郎っていうかイカ野郎だから変な事されなかった?」
ようやく真面目な人が女の子に話しかけてくれました。
「……いえ、とんでもありません!何か優しかったですし、変な人を吹き飛ばしましたし……大丈夫です」
「そうか。まぁ鬼から救ったから一応悪い事はしてないんだけどな、ただ…」
ただ、その後女の子は桃太郎にあはーんな事やうふーんな事される恐れがあるので処理しました、と申丸君は言いたかったようです。
それより何故申丸君より後にいたウンタラカンタラが先に桃太郎に追いついちゃうんですか?
「こるぁ、ワレぇ!この俺様の部下にぶつかっておいた上に『スマン』の一言で終わらせて更にそのまま逃げるとはええ度胸じゃないか!」
あ、チンピラに激突ショルダーしちゃったんですね。
30人ぐらいのチンピラがやってきましたよ。
そのうち三人くらいの顔がボコボコなので、この三人は申丸にフルボッコされたんだと思います。
「ええ度胸はそっちだな。数で攻めれば俺に勝てると思ったのか?」
「あ、あのー…。大丈夫なんでしょうか……?」
「下がってろ。暴力・グロテスクなシーンがありますのでご注意ください、だ」
「は…はぁ……」
女の子は呆然として申丸を見ていた。巻き込まれると思いつつも体は素直に動けないのだ。
ここで「下がってろ!」なんて言ったら何か怖がられるかもしれないしこりゃ参ったなぁ、と焦る申丸。
「え…ええっと、やめましょうよ!鬼でもない人間から血を流させるなんてよくありません!」
女の子がついに決意を決めて申丸とチンピラ達に呼びかける。
それを聞いた申丸はやれやれとため息をつき、
「この乱れたご時世、気が立ってる人間が多いんだ。痛い目見てもらわないとこいつらは止めら……」
「駄目です!貴方みたいないい人ならなおさらです。貴方達もあまり怒らないでください!」
真面目に怒った女の子が喧嘩を止めようとした
久々に真面目な奴がいる…と感動している申丸ですが、そんな綺麗事ではこいつ等を止められないと考える。
が、
「か……かわええ」
「は?」
「この子めがっさ可愛ええよ、この子!俺様の伴侶になってください!」
「あ!御頭だけずるいッスよ!この子はワシの嫁!」
「なにを!俺の嫁!」
急に中二病にかかったかの如く、女の子の婿になろうとするチンピラ達。
「違うっ!この可愛い子は最初にオレが見つけたんだぁ〜!だからオレの嫁!」
ついに桃太郎も復活し、チンピラの中へと一緒に乱闘する。
「……なんで俺の周りって変なのしかいないんだ?」
頭抱えてげっそりとした表情で悩む申丸。
何かアレですね。そのうち神経胃炎持ちになりそうな勢いですよね。
女の子は女の子でおろおろしたままですし。もう混沌の世界に迷い込んでしまいました。

なんだかんだで結局桃太郎が「いつもはヘタレキャラだけど戦闘の時に俺様キャラになるなんて萌えじゃねぇかビーム」とか言ってチンピラ達を気絶させて乱闘は幕を閉じたのですが。

「で、子猫ちゃん。お名前は?ついでにメアドも教えて」
「携帯もパソコンも持ってない奴がメアド知ってどーすんだよ、エロモモ」
「ここでツッコミ入れるな。女の子が発言しづらいだろ」
「俺がつっこまずに誰がつっこむんだ、あぁ?」
申丸の目から出る火花を軽くスルーして、改めて女の子に名前を尋ねる。
「私は…ニーナって言います。一人で旅をしているんです」
「へぇ奇遇だね。オレ、桃太郎だからニーナちゃんと一緒で旅してるんだわ」
「桃太郎さんだったんですか!ステキですね〜」
「全然鬼退治してないけど…ゴフォア!」
ついに申丸を裏拳で口封じに入った桃太郎。
当然女の子に笑顔を向けたまま右腕だけで攻撃。恐ろしや。
「くそぅ、後で覚えてろよエロモモ……」
桃太郎の攻撃をまともに顔面に食らって顔を押さえる申丸。
「んじゃまあ、とりあえずどこか一緒にデートしない?」
「えっ……!デート…ですか?」
いきなりのお誘いにニーナはまたおろおろし始める。あまりそういうことに慣れていないんでしょうか?そこが萌えですが。
「安心してくれって〜。デートと思わずにお買い物だと思えばおkだって。じゃああそこの団子屋行ってみようか〜」
桃太郎、ついにニーナさんを強制デートに参加させました(強制が「嬌声」って出た。エロス)。
押しの一手ですね。
ニーナの背中を押して歩く桃太郎を、もうどうにでもなぁれって思った申丸でした。
そんな申丸を蛙がゲコリと、励ますように鳴いた。



その頃、この町の近くにある洞窟では………
「そうか、お前さん達でも倒せぬ桃太郎がおるのか…」
「はい。桃太郎もそのお供も極めて凶悪でございます」
「そそそそこを是非ともお願いしたいのですゴズ様ぁ…」
しばらく沈黙が続き
「お前等、もうちょい楽しく会話してくれ。シリアスな空気は食べ飽きたのだよ」
「あ、はい…」
「スミマセン…」
ヘンテコな会議をしていました。


「でもまぁいい。仇が取れるのならばな」





戻って、
団子屋で楽しくお茶をしている桃太郎とニーナ。
しだいに打ち解けてきたようです。
でもまだラブホに行くまでではないですが。まだ夜じゃないし。
申丸はそんな楽しそうな二人を遠くで見守りつつ、本日十五回目のため息をついた。
一応彼も配慮して、桃太郎とニーナを二人っきりにさせたようです。
でもいつ桃太郎がおかしな行動をとるかが不安で遠くから見ているって事ですね。
そんな事はともかく申丸君、何だかニーナさんを見て切なそうな顔です。あ、十六回目のため息です。
「…………」
何でしょうか?死んだ元カノとかフラれた元恋人そっくりとかそんな感じでしょうか?
あ、シリアスにお願いします?合点了解です。

「ところでさ、ニーナちゃん」
桃太郎が団子の串を指揮棒のように振りながら急に尋ねた。
「何でしょうか?」
「ニーナちゃんってどうして旅をしているの?伝説のコミケとか探してる?」
「え?」
急に聞かれたくない事の会話になってどきりとするニーナ。
桃太郎はまずい事だと分かっていたからこそ、ニーナが親しく話しやすいようにふざけた発言を付け足しておいたが、やはり無駄だったようだ。ニーナは暗い顔をしている。
「べ…別にいたって普通な理由ですよ?各地の名所めぐりとかそんな事がしたいって言う…」
「ふーん……」
何かデリカシーの無い態度になってきましたね桃太郎。殴っていいですか。
「な、何ですか?その反応は…」
「いや、おんにゃのこ大好きそうな鬼らが大量にいる中で、今からでもや・ら・な・い・か?見たいな感じに一人旅なんて珍しいなぁって思って」
「……ぅ」
痛いところを突かれ、唇をかみ締めてうつむくニーナ。
このままでは真実を語ってくれないだろうと悟った桃太郎は、自分の理論を話してみる。
「あのさニーナちゃん。もしかして、仇取りしてる?」
「!」
「だって何だか緊張した顔でさぁ。痛くないから大丈夫って言っても無駄そうなオーラ出してるし…」
桃太郎の発言に声に出してまで反応はしなかったが、ニーナの持っている湯飲みの水面が少し震えた。
女の子の行動を見逃さない桃太郎は、踊っていた指揮棒をピタリと止める。
「話したくないくらい気持ちが良くない事だったら別にオレが妄想で考える。ただコレだけは言っておくな」
指揮棒を刀のようにヒュンヒュンと振り、そのまま回転させながら宙へと投げる。
「オレは鬼退治と人助けをする。困った時はいつでも言ってくれ。気持ち良くなるまで救ってやるさ」
上から落ちてきた串をパシッ握り掴むと、ニーナの前にスッと手を出す。
その拳を開くとそこには、串ではなくアジサイの花を模したかんざしが乗っていた。
それを見てニーナは固くなっていた顔を緩ませる。
桃太郎はニーナが落ち着いてくれたのを見るとかんざしをニーナの手に握らせ
「じゃ、そろそろデートもお開きってことで」
席から離れ、出入り口へと去ってしまった。
ニーナはそのかんざしを見つめ、ぎゅっと胸の中で強く抱きしめた。


「あ、雨だ。傘持ってねぇ…」
団子屋の入り口から出てきた桃太郎は雨が降り出したことに気づいた。
だが、後ろの気配には気づいていなかった。
慌てて振り返った頃にはもう遅かった。

「必殺!申丸バスターぁぁぁぁ!」
「ぎゃあああああ(べきごきぐき」
申丸からいわゆるキン肉バスターを食らって悲鳴をあげる桃太郎。
何とか離してもらい、背筋をさする。
「この、エロモモが!あの子の傷口を博多の塩で塗ったくる発言をよくもまぁ平気な顔でしたもんだなぁ、ゴルァ!本当にお前女が好きなのか?変態なのか!?」
「うっるさいなぁ申丸は……。大事な事を言っただけじゃんか」
「他人のお前が言うような事じゃないと思うけどな俺は!」
「何だと?仮にもオレは泣く子も女子高生も黙る天下の桃太郎様だぞ。困った人を助けてあげるのはお前にとっても嬉しい事じゃないのか?」
「それはそうだが、あんな乱暴な言い方じゃなくてもだな……」
申丸がもう一度申丸バスターを放とうとしたその時
「いいんです!大丈夫ですから!」
ニーナが慌てて申丸と桃太郎の前に現れた。その頭にはアジサイのかんざしが。
「ニーナさん…」
「心配してくれてありがとうございます。でもいいんです、もう決めたので」
自分ににっこりと微笑むニーナに戸惑う申丸。
「決めたって何を?」
申丸の質問にニーナは桃太郎を見てはにかんでみせた。
「私、戦います」




その頃、明崎ノ介と和双は。
「雨降ってますね……。鬱です」
「ええ、鬱怖いのお!……なんちて。あれ?マイナーすぎた?」
桃太郎達が頼んでくれた宿屋を探すために歩いてたらいきなり落とし穴に落ちて、宿屋の人が「ボッシュートです!」と言ってきてから早二十分。
てっきり敵が現れたかと思ったが、宿屋の人に罪は無い。悪いのは申丸だ!と理解した二人は今、その宿屋で申丸ドッキリ計画を立てていた。
「ミーも雨ラブじゃないネ。外で暴れにくいもん。シャーイも同じ理由?」
明崎ノ介はソファーで足をばたばたさせながら呟く。
「いえ、僕は太陽の光がないとエネルギーを補充できないので…」
「オー。イッツ光合成人間。二酸化炭素吸って酸素吐くの?」
「光合成じゃないですぅ。ついでに言うとオクラでもないですぅ」
植物扱いされた事でぶーっと頬を膨らませる(といっても唐傘で見えないが)和双。
しかしよくよく考えてみれば……
「植物って事は僕、灰になれるのかなぁ?さらさらで触ると黒くなる灰に……」
思わず妄想してうっとりと手を合わせて考える灰フェチさん。
「別に後百五十年もしたらミーの灰手に入るネ」
ジトーっとした目で思わずぼやく明崎ノ介。
「え?どうしてそんな微妙な月日の後に灰が手に入るんですか?」
「えふんえふん。何でもナッシング」
胡散臭い咳払いのマネをしつつ「実はミー、不死鳥なのよネー。これ皆に言ったらきっと驚いてミーを恐れちゃうから秘密にしておかないといけないのヨー」と心の中で呟いた明崎ノ介君でした。






戻って桃太郎達はというと
桃太郎とニーナが一つの傘をさしてアイアイ傘をしていて、申丸だけカッパを着て歩いていた。
ところでアイアイ傘って地面にラクガキする時、柄の部分から書かないと離婚しちゃうとか、そうじゃないよーとかいろんな説があるけど、結局どうなんですか?
「何で俺だけ傘じゃないんだ……」
軽くシャープマークでイラついていそうな申丸。
なんせこのカッパ、頭のフードのところに猿の耳を催したものが、腰の部分には猿の尻尾を現した長い紐がついているのである。
「こら、折角ニーナちゃんが貸してくれたカッパなんだから文句言わない」
桃太郎が傘を持ちつつ申丸にピシッと言う。
それを申し訳なさそうに頭を下げるニーナ。
「…だからって何で俺が傘持たないんだ?」
「動きやすいですし」
「猿役お前だし」
ニーナと桃太郎のダブルパンチに
「……否定はしない」
いや、猿役なのは否定せんのかいな。
「まぁとにかく、キリキリ歩け」
「くそぅ、後で覚えてろよエロモモ……」

こんな状況になる前に桃太郎たちに何があったのか振り返ってみよう。


「私、戦います」
いきなりの戦闘宣言に申丸は驚く。どのくらい驚いたかって言うと例えるなら目がポーン。
「ここここんなか弱いニーナさんが戦うって、おいエロモモ!お前ナニ吹き込んだんだ!?」
「そうか、覚悟を決めたか…」
「話キケー」
で。
「桃太郎さんももちろん一緒に来てくれますよね?」
「おうよ。レディだけ救う正義の桃太郎様だからな。」
「こんなエロ桃太郎でいいのだろうか……。ニーナさん可哀想に」
でも内心、エロモモが真面目に働いてくれるのならいいか。このニーナさんの状況からしてこの町の近くにあるって言う鬼退治だろうし。とか考えている申丸。


という訳でニーナが仇取りに行くのでそれについて行く事にした桃太郎と、桃太郎が心配なので一緒にいることにした申丸。
で、今しとしと雨の中歩いているわけです。


「ところで、聞きづらい事聞くんだけど…。ニーナさんが仇取りをしようとしたきっかけって一体何なんです?」
ふと申丸は気になった事をニーナに尋ねた。
「えっと……。殺されたんです、両親が」
あ、やっぱ気まずい事聞いちまったよと申丸は近くの樹に頭をガンガンぶつける。
そこまで自重せんでもええと思うんやけど。
「その頃私はまだ幼くて、そいつを倒せるほどの力がありませんでした。…今もですけどね」
ちょっと俯いて過去を振り返るニーナ。
そんな悲しそうな顔をしているニーナが気になって仕方が無い桃太郎。
「殺されずに生きているのが奇跡だったと今でも思ってます。……奇跡って言い方変かな?」
「いや、その言い方でもいいんじゃね?」
「そうですか……」
「なんつーか、乙女っぽくてかわいいし」
「ふふふっ、ありがとうございます」
そんなかんじに桃太郎とニーナは会話しだし、楽しそうに笑い出した。
それを見て申丸は少しため息をついた。
ニーナが笑ってくれたからという安堵のため息ではない。
桃太郎が人助けをした事への安心のため息でもない。
ただただ、「鬼」という存在に嘆きを持ったため息であった。
いかん。そんな感情に浸っている場合ではないと慌てて頭を振る申丸。
こんなところで暗い存在がいたらニーナまで気持ちが暗くなっちゃうかもしれないじゃないか。
今は鬼退治に専念しよう。
そう思ったその時だった。


「くたばれ、モモ野郎っ!!」



そんな声が聞こえたと同時に、申丸に桃太郎が背中を向けて体当たりをしてきた。
いきなりの事で体が動かなかった申丸は、そのまま後ろへと倒れこみ、桃太郎を蹴りでどかす。
「何があったんだよ!いきなりすぎるだろう!」
桃太郎の頭をぐりぐりとやろうとしたが、ただならない殺気に気づき、殺気と距離をとる。
そして状況を把握した。

「ニーナ……さん……?」

申丸の先に見えるのはニーナ。
だが、何かが違う。
彼女の手に握られているのは、自分の背丈よりもでかい双刃剣(普通の剣の柄の部分にも刃がついた、いわゆるダブルセイバーのこと)。
そして彼女から、強い殺気を感じるのだ。
驚きを隠せない申丸の事など気にせず、ニーナは倒れている桃太郎に双刃剣を振り下ろした。
「おおーっと!」
桃太郎はバック転をしながら飛び起き、攻撃をかわしつつ申丸の隣に立つ。
「エロモモ、ニーナさん!一体どういうことだよ!」
ありえない状況に申丸は我慢が出来ずに二人に問う。
「別にお前を殺すつもりは無い、安心しろ。俺様はお前になど興味はない」
答えを返してくれたのはニーナだった。
「ニーナさん…、貴方も桃太郎の命を狙う鬼の刺客なんですか……?」
そんな事を聞くなと言わんばかりに目つきが悪くなったニーナは仕方がなく口を開く。
「だからお前には興味がないと言っておるだろう。聞くならモモに聞け」
「モモって……?」
申丸は唯一理解できていそうな主君を見つめるが、桃太郎はうーんと考えているだけで何も言わない。
「ごめ。ここまで酷いオレへの独占欲は嬉しいんだけど、どちら様?」
まったく理解できていないようです。
それを聞いてニーナは青筋を立てて「コイツはいつからこんなアフォになったんだ…?」と呟き、さらに
「くそぉぉぉぉぅ!胸のバカヤローっ!!」
ただえさえ大きな胸元を強調されせいる服をはだけようと気合を入れた。
「うわわわわ!流石にポロリはまずいだろー!!」
「……駄目だ。あの子の胸を枕にでもしない限り思い出せない……」
「エロモモも止めるの手伝えー!」


乱闘中によりしばらくお待ちください。
その間に他のところにカメラをまわして見ましょうか。

「あー。今日はホントとんでもない一日だったのぉ」
「そうですな。御頭」
黒い車に乗って町外れまで走っているのは、今日申丸達に絡んだチンピラ達でした。
「雨も降るし、金髪の野郎に返り討ちに逢うし、変な奴にビーム浴びさせられるし」
「でもあの女の子は可愛かったッスよね」
「そうじゃのぉ…。今頃あの金髪野郎とビーム野郎とで二対一プレイでもしとるんじゃろうか…」
どういう意味でのプレイなんでしょうね?あえて答えは聞かない。
そんな感じでチンピラ達が会話していたその時
どん
ぐわーん
高級そうな車が何かと衝突しました。事故です、これは事故です。
「な、何やらかしとるんじゃボケェ!」
男達は車のドアを開けてぶつかった奴に慰謝料を要求しようとします。
しか相手が悪かったようです。
そいつは家よりもでかく、赤い肌をして、頭に金の角をつけている鬼だったからです。
その鬼の周りに子鬼がわらわらと群れを成しており、大声を上げた男達を睨み付けます。
「ひ…ひいいいい!」
流石に勝てないと思った人間の頭脳。
慌てて逃げ出しました。
子鬼達はそいつらを追いかけようとしましたが、
「よせ、あやつらはワシらの憎む桃太郎ではない」
大鬼に呼び止められ、大人しくなりました。
「さぁ、桃太郎を探すぞ」
そう言って大鬼はどこかへとずしんずしんと歩いていきました。
そしてその姿を眺める者がいたことに鬼達は気づかなかった。



戻って〜、桃太郎側。

「に…ニーナさん。女性…なんですか…らそんな…大胆な…事は……ぜい、はぁ」
予想以上に力があってなかなかニーナを止められなくって大苦戦した模様の申丸。
「俺様は…女性では…ない…。それと…俺様の名は…リーゴ…だ」
ニーナもといリーゴも何故そこまではだけることに努力を尽くしたのか自分でも分からなかったが、とりあえずこれもアイツのせいだと心の中で思った。
リーゴという名を聞いて桃太郎はようやく何かを思い出したのか、両手をぽんと叩く。
「あぁ。リーゴってあの『ヘタレリンゴちゃん』の事か」
「誰がヘタレだぁ!この『ド変態モモ野郎』!」
剛のように怒りがむらむらしているリーゴと、柔のように落ち着いて過去を振り返る桃太郎。
その二人の関係が分からず、改めて桃太郎に聞いてみる申丸。
「なぁ、エロモモ。コイツとの関係は一体何なんだ?」
「えーっと、幼馴染」
申丸、五秒くらい沈黙。シンキングタイム中。
「ええええええ!?ってことはエロモモの過去を知る数少なさそうな貴重な人ぉ!?」
「まぁそうとも言う。……しっかし、オレの知ってる限りのリンゴは男だったような気がするし……。もしかして、オカマに転職した?」
「俺様は男だ、オカマではない!好きで肩こってるんではない!だいたいお前が……」
「どれどれ」
本物の胸なのか確かめるために急にリーゴの前に現れて、胸を掴んでみる桃太郎。
もにゅっとやわらかい感触が桃太郎の手のひらで感じる。
「はぁうっ!」
「あ、ホントだ。シリコンじゃないや」
いきなりの不意打ちにリーゴは顔を林檎のように赤くし、桃太郎から逃れようとする。が、桃太郎の握力で離れられない。
そのまま桃太郎はもにゅもにゅとやわらかさを体感して、
「よし。これだけじゃ女という証拠もないし、股にアレがぶら下がっていないか確認しなk…」
「いい加減にしろ、このミラクルド変態っっ!!」
「がふう」
後ろからの申丸の飛び膝蹴りとリーゴのメガトンパンチによるダブルアタックを食らう桃太郎。
流石にダブルはきつかったのか、その場に崩れこむ。雨でぬかるんでいる大地に顔はつけませんでしたが。
「エロモモは昔からこんな感じだったんですか?」
「いや、十五歳になった頃あたりからこうなった。オラ、モモとっとと起きろ」
桃太郎を蹴りながら言うリーゴ。さながら女王様です。
「もっと蹴ってとは言わないけど、リンゴっていつから女になったの?何があったの?」
リーゴにとってあまりに無責任すぎる発言だったのだろう。こめかみに青筋がつく。
「俺様が女になったのも全てお前のせいだろうが!」
「……へ?マジで?」
「当然だ!お前が村から旅立ってから急に女になってしまったんだぞ。何とか男に戻れるように調べた結果、『血を浴びれば男に戻れる』という恐ろしい治療法だ。しかもその方法では一時的にしか男に戻れないんだぞ!」
何という乱馬1/2?湯をかければ男に戻れるんじゃないんでしょうか?
「つまり、リンゴがそんな体質になったのも全てオレのせいである、と言いたいんだな」
「そうだ」
桃太郎はうーんと腕を組み考え、
「だからオレを殺すの?」
「そうだ」
首を横にかしげて更に考え込み、
「リンゴちゃん、仇討ちがしたいから殺すんじゃなかったの?」
「それもある」
目をつぶってもっと頭を回転させ、
「オレを殺せば仇が取れるけど、オレが元の戻る方法知ってるとしたらどうするの?」
「殺せば元に戻ると思ってた」
さめざめと雨の音が「コイツアフォだ」と言いたげに降っていた。
「あのなぁ、小学生向け漫画じゃあるまいしラスボス倒したら元に戻る訳ないじゃん。そもそもオレはリンゴをそんな体質にした覚えは無いぞえ」
桃太郎の正論にリーゴはううっと腰を引く。
「だ、だがこんな変態体質にしてきそうなのはモモしか思いつかないではないか…」
「うん、まあそうだろうね。仇取りでオレを殺そうとするのは勝手だけど、体質は知らないから」
「くぅぅぅぅ……」
あまりのショックに言葉を失い、桃太郎達に背を向けるリーゴ。
その間に存在が空気と化していた申丸が桃太郎に質問をする。
「エロモモさんよぉ、ニーナさんとリーゴさんの性格の豹変振りに俺はパニクってますけど」
「こいつ、演技がめがっさ上手いのよ。久々に出会ったから初めは騙されたぜ、オレ」
「気づいてたならどうしてリーゴさんを苛立たせるようなおとぼけを問答無用にかますのかな?」
「いやぁ…、幼馴染強気受けって萌えじゃん」
申丸、大きくため息。本日十八回目のため息。
ため息をすると幸せが逃げるっていいますけど、某人は「不幸を吐いてるんだよ」っていう理屈を言ってましたね。
「で、エロモモはいつリーゴさんの両親を……」
聞かれたくない事を聞かれ、桃太郎は目を伏せて何も言わない。
「……あっ、お前がやったんじゃなくて誤解だったとかそんな感じだよな。悪ぃ」
そんな桃太郎の顔を見たくなかったのか、申丸は慌てて自分の論理を言い訳にしてみる。
しかし、事実を知っている者にしては慰めにもならない理論だった。
「いいんだ申丸。その言葉は必要ない……」
「その通りだ。俺様がコイツを許せば万事解決なのだからな」
あ、リーゴさん立ち直ったようです。
でも右手にダブルセイバーを持ったままです。やっぱり殺る気なんでしょうか?
「俺様が許すまでモモを斬らせてもらう。まぁこの体質を何とかする方法を言うのならば痛い思いはしなくて済むのだが」
それを聞いて申丸は何かを感じ取ったのか、カッパを脱ぎ、ファイティングポーズをとる。
「リーゴさん……。いや、リーゴ。俺のエロモモはそう簡単に殺させねぇ」
「ほぉ…」
「キャッ♪『俺のエロモモ』って言われちゃった」
「うるせぇ!そういう意味じゃないかんな!」
顔を真っ赤にして怒鳴る申丸を見て桃太郎は微笑む。
そして本気用ピコハンを懐から取り出す。
「じゃあオレも戦いますか」
桃太郎が申丸の隣に立とうとするが、申丸は
「エロモモは下がってろ。お前が巻き添え食らって死んだら和双や英語ヤローに会わせる顔が無いからな」
「いや、別にそこまで言うならいいけど……。本当にいいの?」
「イーンダヨ」
仕方なく武器を持ったまま申丸から離れ、リーゴを見つめる。

「この俺様に一対一で向かおうとするのはいい度胸じゃないか。お前、名は?」
「………申丸」
そういって申丸は足を踏み出し、水が鳴る地を走り出す。
走り出しながら申丸は、噂で聞いた事があるとある話を思い出していた。
リーゴ。リーゴ=クリミネ。
最近有名になってきて、最強の名が相応しいといわれる桃太郎。通称「鬼殺し」。
恐らく彼は血を浴びなければいけない体質だから、人間ではなく鬼を殺し続けていると思われる。
その最強の桃太郎がエロモモより強いのなら、エロモモの名誉のためにも障害を潰さなければいけない。
それになにより、コイツが真の桃太郎と呼ばれるのならば……。

そして申丸は攻撃射程にたどり着き、棒立ちで構えているリーゴの頭に殴りかかった。
バシィという音が響き、申丸の拳はリーゴの頬の前で手に遮られた。
「その程度か。名を覚える必要などなかったか」
軽くリーゴの手にあしらわれ、隙が生まれる。
急いでその隙を隠すように足で蹴り上げようとするが、リーゴの姿が見えない。
折角隙が生まれたというのにいないのだ。いや、違う。
空振りの足蹴りをした申丸の後ろにリーゴがダブルセイバーを構えていた。
「はぁぁっ!!」
ダブルセイバーが申丸を貫こうと唸る!
「っ!」
防ごうにも速すぎて間に合わない。
避けようにも自分の体勢が良くない。
こうなったらと、蹴り上げた足を後ろへと回すが、セイバーの刃で防がれる。
そして反対側の刃ですくうように斬り上げて、申丸の上着を切り裂く。
攻撃を紙一重でかわした申丸は、両足が地に付いたのを確認すると、バック転の要領で蹴り上げる。
「隙だらけだな」
リーゴはそう呟くと、その場でセイバーを横に振る。
「うぐっ!」
申丸の両足に一線の血が走り、痛みに顔を歪めるが何とかこらえてそのまま蹴りを放つ。
ドスッという音がし、けりが命中したのが確認できた。
そのまま拳を連続で唸らせようと思い、体勢を整え手に力を入れる。
しかし、ふと何かがおかしいのに気がついた。
自分でも認めるほどの申丸の怪力によって、先ほどの蹴りが命中すればリーゴは吹き飛ぶはずだった。
ということはその場で続けて拳を構える必要がないのだ。
なのにリーゴは目の前で立っている。余裕の笑顔で。
その不安が隙を生んでしまい、拳に力が入らないままリーゴの鳩尾を狙う。
当然のようにリーゴは攻撃を飛び避け、そのまま申丸の拳の上に左足を、頭の上に右足を乗せて踏みつけた。
「くぁあっ!」
申丸は地に押さえつけられる。
このままではマズイと思い、頭を押さえている足に、押さえつけられていない反対の手で掴み投げ飛ばそうと狙うが、その手にセイバーの刃が突き刺される。
「ぐあああぁああっ!」
痛みに耐えられず悲鳴をあげる申丸を、リーゴは冷めた目で見つめる。
「ぬるい。実にぬるい。所詮は人間……か。モモの方がまだやりがいはあるぞ」
「そりゃどーも君」
「!?」
ふと声のある方向へと顔を向けると、桃太郎がピコハンを構えて振り殴る瞬間だった。
そしてリーゴは大きく吹き飛びそれでも受身を取り、着地をする。
桃太郎は申丸の手に刺さったセイバーを投げ捨てると、リーゴを見つめたままアドバイスを言った。
「ひゅー、痛い目見たねぇ。こいつと一対一で戦うのはやめたほうがいいって事分かったか?」
「わ…分かった……」
申丸は自分がぼこぼこにやられているのをこの桃太郎に見られたという屈辱を胸に、そう答えた。
「それにしても申丸、両手両足に防刃製のやつ付けてたのね。でも結構削られてるんじゃない?」
そう桃太郎に言われ、申丸は痛みをこらえながら足のブーツを確認すると
「お前等、人間じゃないだろ……」
防刃の部分をごっそりと削った上に、申丸の皮膚を薄く切り、血が滲んでいた。
手にセイバーが刺さったところも、痛みがきたのだから言うまでもない。
「化け物扱いされるのはもう慣れてるんだがな…。立てるか、申丸」
「……何とか」
申丸は立ち上がり、何かを急に思いついた。
「なぁ。化け物扱いって言ったけど、お前等が化け物じゃなくて、その武器がおかしすぎるの訂正にするべきなのか?」
そう言われ、桃太郎は申丸を納得させるために自分の持っている本気用ピコハンを申丸に持たせた。
「重っ!」
渡された瞬間、申丸の手は重力に耐え切れずピコハンと共に地へと沈む。
さっきセイバーに刺された手の傷口から血が滲みます。
「言っとくけどラビっとの鎚でもなければ、喋るダンディ剣玉と同類でもないからな」
桃太郎はひょいと申丸の手にあるピコハンを持ち上げ、肩に担ぐ。
「あー…つまり、このピコハンを軽々と持てるほどの化け物っぷりですって事か」
申丸の怪力でも持てなかったのだから、桃太郎はもっと怪力に違いない。
ちょっと自分の特権を奪われて落ち込む申丸でした。

「で、いい加減元に戻る方法を教える気になったか、モモ?」
リーゴはセイバーに付いた申丸の血を見つめながら桃太郎に問う。
「いんや。こっからが本番だからまだ気を抜かないでちょ。襲われる時は抜いてて欲しいけど」
桃太郎はのんきに屈伸運動をしながら言い返した。
「…相変わらず腹が立つ……!」
リーゴは目くじらを立てて殺意満々になり、
「腹が立つ事に同意」
申丸はわずかにリーゴと魂の共鳴をした。
「二人ともつれないねぇ。ところでリンゴちゃん、勝算はあるの?」
「……一応ある。ほぼ一対一の状態だからな」
「まぁ確かに」
苦笑いをする桃太郎。
申丸は「何故リーゴって奴は一対一にこだわるんだ?」と思いつつも気を引き締める。
そしていよいよ本気になる時が来た。
お互い構えたまま、動かない。
ただ雨が降り続け、地に落ちる音が響き続ける。
そして桃太郎は唐突に走り出した。その後に「ピチャン」と何かベタにある、動き出す瞬間の合図が鳴る。桃ちゃんちょっと早いよ。早いと嫌われちゃうよ。
「ふっ。焦りが生じたようだな、モモ!!」
リーゴは勝ったと言わんばかりに叫び、向かってくる桃太郎に向けてセイバーを握り締める。
それに対して桃太郎はやはり焦りが顔に浮かんでおり、ピコハンを構えた。
申丸は慌てて後から桃太郎を追いかけるが
「止まれ!むしろ離れろっ!」
桃太郎に言われ、立ち止まる。
「な…なんでだよ!」
申丸の疑問の声に返答もせず、リーゴにだいぶ近づいた桃太郎はピコハンをリーゴ向かって投げた。
「ふっ。何を考えておるのだか」
セイバーでピコハンを振り飛ばすリーゴ。
「こう考えてるんだよ」
「何っ!?」
いきなりと意味不明なことで驚きが隠せない。
セイバーを振り、そのわずかな隙が生まれたリーゴ向かって桃太郎は飛びついたのだ!
そのままリーゴは桃太郎に大地にへと押し倒される。
「エロモモっ!?」
申丸が叫んだと同時に、桃太郎たちの上に赤く太い光線が地と水平に走っていくのが見えた。



「ぴぎー。命中したんじゃないんでしょうか、ゴズ様?」
「うーむ。オイは鬼らしく肉弾戦がよいんじゃがのぉ」
桃太郎達から離れた丘の上で子鬼と大鬼・ゴズが大筒の後ろで会話をしていた。
「でも何でコレを使ってこの近くの町に撃たなかったのですか?」
カンタラが大筒を撫でながらゴズに問う。ウンタラも気になるらしくコクコクと頷く。
「ううむ。本当はそのつもりだったんじゃが、優先すべきは仇取りだしなぁ」
「ゴズ様……」
ウンタラとカンタラは自分達の為にそこまでしてくれるゴズに感動している。
でもゴズの仇取りとは冒頭で高層ビルにされた鬼達を倒した桃太郎を倒すためなんですよ?
そんな勘違いがすれ違いしている中、子鬼が急に騒ぎ出す。
「た、大変ですぅ!あいつら生きてますぅ!」
「なんじゃと!?」
急いで大筒に付いていたスコープで確認すると、人影が三人ごたごたと動いてるのが分かる。
「このレーザーをまともに受けて生きておるとは……敵ながら天晴れじゃな」
そうですねーといいとも風に呑気に呟く子鬼達。
「よし、そろそろ真面目にやっちゃるか!」
ズドンと大筒を叩き、ゴズは仲間たちに出撃を命じた。
大筒はゴズの怪力でぺしゃんこになっていた。




急な殺気を感じた申丸はその方向へと振り向くと、先ほどのレーザーが出た丘からだった。
「この感じ……まさか鬼!?」
雨のせいでうまく見えないが、よく目を凝らしてみると、赤い肌をした奴らが金棒を持ってこっちに向かってきている。
「俺達に対する殺気といい、赤肌に金棒ってきたらもう鬼しか思い当たらねぇよな…」
先ほどのレーザーもこの鬼達の仕業かもしれない、そこまで理解した申丸は桃太郎達に視線を向ける。
エロモモがアフォだとしても俺が気づかなかったレーザーの気配を感じたぐらいだし、リーゴだって鬼と戦い慣れているのならもう戦闘準備が出来ているはずだ。
次の戦いに備えてくれているという期待を込めて桃太郎達を見たのだが……。

「お…押し倒すなモモ!さり気に胸を触ってるんじゃねぇ!」
「仕方がないだろ〜。あと少しでお前、塵と化すところだったんだぜ〜?」
「ひゃあっ!こ…腰も触るな!というか何故俺様を助けた!」
「当然、後で幼馴染カップルプレイをしたくて…ぎゃぼらった!!」
申丸の渾身のツッコミビンタで吹き飛ぶ桃太郎。こういうときだけ申丸君は怪力です。
「…モモと一緒にいると苦労するだろうに、何故モモの仲間になった」
ゆっくりとダブルセイバーを支えにして立ち上がりながらリーゴが尋ねる。
「今では後悔してます。でも過去は振り返らないようにして、これからの教訓に生かしたいと思ってます」
お陰でかなり逞しくなりました!と言わん気に申丸は答えた。いい人生経験だよ。
そうこうしている間に鬼達は申丸達の表情が読めるくらいのところまで来ていた。
「げっ、ハニー!あのヤンキーがいるよぉ!」
申丸を見つけてウンタラはカンタラにしがみ付き、そしてカンタラに蹴られる。
「しっかりしなさいよ!唐傘の奴とあの子供がいないだけまだマシじゃないの!」
「だけども、ヤンキーが一番怖い……。嗚呼思い出しただけで、頭が大地を抉っていく!」
あの時申丸君のツッコミ甲の手アタック食らって地面抉って飛んでいきましたからね。
つかそんなに騒いでるとそのヤンキーさんに睨み付けられますよー。
「あ、この前の鬼達じゃねーか。この騒ぎはテメェらの仕業か」
指をぽきぽき鳴らしながらウンタラとカンタラを見つめます。
申丸にとっては見てるだけなのでしょうが、二人にとっては殺意を込めて睨み付けられているにしか思えなくなってます。レベル5にはまだ達してないかな?かな?
「ひぃぃぃ!ハニー、こいつらはゴズ様に撲殺させといてワシらは逃げよう!故郷に帰ろう!」
「に…逃げちゃ駄目よダーリン!せめて遠くで見つめてるくらいなら!」
「む、おぬしらも戦うんじゃよ?鬼らしく拳で」
ゴズがにこやかに、期待を込めた瞳でウンタラとカンタラに言いました。
それにつられて子鬼達もウンタラとカンタラを期待とワクテカを込めた瞳で見ます。
人間社会の場合でもこの目で見られたら、逃げれませんよね。
もう死ぬ気で逝くしかないでしょ。り・ぼーん。
申丸君も覚悟を決めたのが分かったのか、肩をぐるぐる回し始めます。先ほどの怪我なんて知っちゃ事じゃありません。
ちなみに肝心な桃太郎は先ほどのツッコミを食らって吹き飛んで泥水にダイブしたまま動きません。
ある意味チャンスです。
「そこの人間よ!オイ達は同胞の仇を討ちにに来た!死ぬ覚悟はできてるんじゃろうな?」
ゴズが巨大な金棒を子分たちに持たせ、腕を組んで叫ぶ。
鼓膜がびりびり言うほどの声のでかさに、リーゴは顔をしかめる。
「はぁん!鬼にも身内の関係で動き出すなんて、意外と羨ましい仲だな。だが、俺様は負けぬ!」
「ほほぉう、面白い嬢ちゃんじゃのぉ。ならば見事このゴズを打ち負かせてみぃ!」
巨大金棒を持ち上げ、ぶんぶんと振り回すゴズ。
それを見た申丸はリーゴの横に立ちます。それを怪訝そうに見つめるリーゴ。
「何のつもりだ」
「援護って言っちゃ悪いか?」
「……か、勝手にしろっ!」
リーゴはプイッと首を振って申丸から目線を逸らす。
今まで一人で戦ってきたので援護されるというのはとても嬉しいのだろうか?だとしたら可愛いです。
「ぴぎぃぃぃぃ!!」
子鬼達が奇声を上げながら金棒構えて走ってきました。
申丸もそれに向かって走り出しました。
一体の子鬼を拳で殴り「きゃーっ!」一体の子鬼の攻撃を防ぎ「いやぁあっ!」一体の子鬼を蹴「ふええぇん!」り上げ、周囲に子鬼がいないの「くぅぅんっ!」でリーゴの方へとターンし
「さっきから誰だよ、きゃーきゃー言ってるのは!」
と叫んだ。そして呆然とした。
「いやっ、いやあっ!やめてっ、はうっ、そんなに…いっぺんに…ヤらないでっ…!」
リーゴが、リーゴが!涙目で武器をむちゃくちゃに振り回していた。いや女の武器じゃなくて。
とにかく先ほどの傲慢なリーゴはどこかへと吹き飛んで、エロ可愛いリーゴになっていた。
武器は子鬼達にかすりもせず、金棒が容赦なくリーゴに当たり、武器で防ぎきれていない。
ぽけたーんと見つめていた申丸だったが、慌ててリーゴに群がる子鬼達を殴り倒す。
しかしリーゴがでたらめな動きをするせいで、攻撃をしようにも刃が当たりそうになったり、子鬼を吹き飛ばせる直前にリーゴの攻撃を見切って避けられたりしてまともに戦えない。
「くそっ。リーゴに何があったんだ!?」
申丸が戦った時はとにかく強かった。
急所も正確に狙い、無駄な動きもなく、冷静に戦っていた。
なのに何故?いや、本気で何故?
とにかくこのままでは自分もリーゴもやばいと悟った申丸は何か解決策を練り始めた。
しかしあまりの意外さに頭は「パニクってますけど!」としか働いてくれず、仕方なく
「ひゃあっ!」
リーゴを抱えて後ろへと退く事にした。退却〜。
しかし子鬼達がそう簡単に逃がしてくれるはずもない。
申丸の後ろをひたすらに追いかけてくる。
「きゃーっ!きゃーっ!」
リーゴも混乱しているらしく、ジタバタと腕の中から逃げ出そうと暴れだし、蹴りとかパンチを申丸にお見舞いする。
「逃げても駄目かもしれなくなってきた……」
リーゴを抱える事、殴られる事、走っている事で申丸の体力は一気に消耗し、かといってこのまま休んだら子鬼達の金棒の餌食となる。
こうなったらもうこう言うしかないでしょ。えーりんじゃないよ、どらいもんでもないよ。せーの

「助けてっ、エロモモぉ〜っっっ!!」

申丸の神頼みは雨音よりも強く響き渡り、どこかで白目剥いたまま雨に打たれて気絶していた本人にの耳に届きました。
「はっ。申丸がオレにすがる声がした!ついに受けになる覚悟が出来たか!!」
なにやら変な勘違いをしていますが、助けてくれる事には変わりないのでこのまま誤解させておきましょう。
「……リーゴがいるのにどうして…。ってあ、そっか。アイツ一対一じゃないと……」
本気用ピコハンを構えて申丸を追いかける子鬼達の前へと走り出し、
「運動会―――」
巨大ピコハンが更にでかくなり、それを軽々と振り上げたまま飛び、
「―――プロテインパワーっ!!」
子鬼達を押しつぶした。
「一体どういう原理でピコハンがでかくなるとか、掛け声がわけからないとかそういう所も含めてすげぇ……」
申丸はリーゴを降ろし、相変わらずの強さを誇る桃太郎に驚いていた。
桃太郎がピコハンを肩に担ぎ、ぐちゃぐちゃになった子鬼達の屍骸を寂しげに見つめた。
「よくも、ワシの仲間を潰してくれたな……」
ゴズの声が聞こえ、はっと我に返り桃太郎は後ろへと飛びのく。
先ほどまで桃太郎の腰があったところにゴズの金棒がブオンと横振りされていた。
「ふむふむふむ。この程度の攻撃を避けれなかったらワシも寂しい気持ちになっとたわい」
「オレも避けきれなかったら地獄で悔しい気持ちに陥ってたな。死に方は女性の胸の上でが理想だったなぁ…ってな」
「ガハハハ。違いない」
「ゴズ様!同感しちゃった!!」
カンタラ、思わずつっこむ。
「嗚呼、ゴズ様があの変態桃太郎のペースに巻き込まれてく…」
ウンタラも頭を抱えてしゃがみこむ。余程ショックだったらしい。
「あ、お前らまだ生きてたのか」
びくぅっと背筋が凍りゆっくりと後ろを向くと申丸がウンタラとカンタラの後ろに立っていた。
「ひぃぃぃ!許して!サーセン!ジャンピング土下座しますから!」
「何言ってるのよダーリン!アタシ達だけでも戦うのよ!」
その様子を見て申丸は静かに呟いた。
「いや、戦う必要はない」
「え?え?だってアンタ……」
「もしかしてアタシ達に同情とかしてるんじゃないでしょうね?」
カンタラは怒りを言葉に潜め、申丸の襟元をつかむ。
「鬼のプライド…ってやつか?」
襟元をつかまれたまま申丸は呑気に答えた。怪我を負っているというのに何か余裕があるように見える。
その態度にますます腹が立つカンタラだが、ぐっとこらえて自慢気に言う。
「そうよ、アタシ達タラ一族はプライドが高いの。タラ族だけじゃないわ。全ての鬼族はこの金の角に誇りを持っている。鬼である証を」
「だから鬼退治のときに角を取って来いってお偉いさんが言うのはそういうことか」
「た、例え角を取られても生き残った鬼はおっそろしい目に合うだよ」
そう言って来たのはウンタラ。凄く体が震えて顔が青ざめている。
「角を取られた鬼は鬼とはみなされず、処罰を与えられるだ。両手両足の爪を引き剥がされ、指も一本ずつ引きちぎられて、ちょっとずつ体の部分を千切られる…」
想像しながら言ったのだろう。ウンタラは怯えて頭を抱え込んでしまった。
「ワシもハニーもそんな目には遭いたくない。だから死ぬ時は潔く死ぬだ。例え相手がヤンキーみたいな奴でも…」
カンタラは丸くなっているウンタラに目が行き、申丸の襟首を離すと優しくウンタラの頭を撫でた。
「心配しないでダーリン。死ぬ時はアタシも一緒だわ」
「だから戦うつもりはないって言ってるんだがなぁ…」
申丸はただ立ち尽くし、ふと騒がしい音がすると気づいて後ろを見たら桃太郎とゴズの戦闘が始まっていた。
だがこの戦闘もすぐに終わるだろう。
桃太郎の方が圧倒的にゴズを押している。
お互い攻撃速度の遅い武器を構えているが、巨体の為に動きが鈍いゴズに対して桃太郎は俊敏な動きで確実にゴズの急所を突いている。
やはりこの桃太郎は只者ではなさそうだ。

「なぁ、参ったって言ってくれねぇか?ゴズたん」
桃太郎はゴズの金棒を横に避ける。
「何を言うておるか。鬼のプライドとして退かん!」
そのままゴズは金棒を地に滑らせ桃太郎の脚を狙う。
「オレ、これ以上殺したくないんだわ。特にかっこいいやつなんて」
攻撃を予測していた桃太郎は高く飛びゴズの頭目掛けてピコハンを振るう。
「ぐはっ……!負けぬ。負けられぬ!我が鬼族のためにも、我がプライドにかけても!」
ゴズの巨体が崩れ落ちそうになり膝を着かせながらゴズは金棒を強く握り締める。
桃太郎はその必死ながらも戦おうとするゴズを見て、
「こうなると、手加減して戦っているオレは命がけで戦っているお前に失礼だな」
ピコハンを右手から左手に持ち替えて、
「かっこよかったぜ。お前なら立派な受けになれるさ」
力任せにゴズの頭へもう一度ピコハンを叩きおろした。

ゴズの頭蓋骨に亀裂が走った音がし、ゴズは遂に頭を地に沈めた。
桃太郎はゴズから湧き出る血をただ眺めていた。





その日もしとしとと小さな音を立てた雨が降っていた。
ぼろい家に父と母と三人で暮らしていた少年は、窓からその雨を眺めつつため息をついた。
少年にはよく遊んでくれる大好きな男の子がいた。
だがその男の子は厳しい家の規則があって、本当は友達なんか作るなどあってはいけないらしい。
それでもその男の子のことを大好きになってしまった少年は、親に友達が出来たという事を内緒にするというルールと作って毎日遊んだ。
そして今日は初めて男の子と家で遊ぶ日。
家には親がいるというのに男の子が少年の親に会いたいと言い出し、バレなければいいかと思った少年はそれを許した。
親も快く遊びに来る事を了承したし、少年もいつも汚い自分の部屋を綺麗に整頓し、何をして遊ぼうか色々と考えていた、のに。
考えていたのに約束の時間からもう一時間も遅れている。
事故にでも遭ったのだろうか?
いや、やはり向こうの親御さんにバレてしまったのでは?
そう心配する両親の声を聞いた少年はふと雨カッパを着て家を飛び出した。
目的地はいつも男の子と一緒に遊ぶ近所の公園。
今日は少年の家に行くという約束を忘れてしまったのではないか?そう自分に言い聞かせながらぴちゃぴちゃと水溜りの上を走っていた。
その人ごみの上を蝙蝠が少年の家に向かって飛んでいったのも知らずに。

帰ってきたと同時に少年は家の中の光景に呆然とする事しか出来なかった。
母は玄関の前で服を真っ赤に染めてボロ雑巾のように倒れていて、父は二階への階段のすぐ下で胸にぽっかりと穴を開けたまま目を開けて死んでいた。
壁は戦った跡が見られ、真っ二つに割れたダイニングテーブルは、ようこそと書かれた紙を挟んだ花束を乗せていた。
写真が飾られていた壁には大きく刃で抉られた跡があり、その跡は元騎士であった父の太刀筋だと少年は理解した。
冷蔵庫などにも小銭程度の穴がいくつか開いてたのは母の戦前使っていた銃によるものだと分かった。
少年の両親は古くから名門騎士として有名で、五百の戦場を巡ったがそれまでに傷一つ付いていなかったという。
それが、その最強の騎士が殺されていた。
衝撃の現実に体が震えていた。喉も渇いている。全身の毛穴という毛穴から汗が湧いてくる気がした。
今少年の目の前にはいつも笑顔で遊んでくれた男の子が、帰り血で子供用の服を真っ赤に染めて少年を申し訳なさそうな表情を作っていた。
男の子は少年と目を合わせないまま静かにこう言った。
「かっこよかったよ。きみのぱぱとまま」





……。
「う…うーん?」
リーゴは何か体に重いものを感じてゆっくりと瞳を開けた。
「おっす。リンゴちゃん生きてるね?生存確認終了!」
「も…モモ!」
目を開けたと同時に桃太郎の顔が至近距離で見えるので、手で突き放そうとするが何故か恥ずかしさの方が強く手に力が入らない。
「うーん。リンゴちゃんのおっぱいやわらかーい」
「ひゃ…ふぇええ!?」
説明しよう!
桃太郎はリーゴを押し倒した状態で顔をリーゴの胸にうずくまらせているのだ!エロい!!
説明終了。と同時にリーゴは両拳で桃太郎の頭をぐりぐりし始める。
「イタイイタイ。だがオレはこの程度で退きはせん!そこにおっぱいがある限り!」
「や…やめろぉ〜。とっとと降りろ〜っ」
「うーん。反抗する声もまた可愛いねぇ…にひひ」
そういったと同時に桃太郎は急に真面目な顔になる。
「……ど、どうしたんだ急に?まさか結婚してくれとか言わないよな?」
「………いや別に。普通ならここで申丸がつっこんでくるはずなんだけどなぁ、って」
そういって桃太郎はリーゴから離れ、きょろきょろと辺りを見回す。
しかし見つかる様子がないので仕方がなく探しに行こうと思ったその時、リーゴが武器を構えていた。
「まだ一件落着って所まではいかないであろう?」
「ん〜。そう言われればそうかもねぇ」
雨が静かに降り続き、リーゴのセイバーについた血を洗う。
「でもさ、よく人間は言うじゃん。『仇討ちは何の意味を持たない』って」
フトモモはリーゴの殺意を込めた目を、緩やかな表情で返し、武器を持っていない右手をひらひらと動かす。
その余裕作癪な態度にやっぱりイライラしてしまうリーゴ。
「……何の意味も持たなくてもいい。ただ俺様は父上と母上を殺したお前を殺せば気が晴れる」
「だーかーら、そこでオレを殺したら復讐は続くぞ?オレの可愛い仲間がお前を憎むぞ?」
「憎まれるならそれでいい。そこで殺されても未練はない」
「そうか…。じゃあその道を歩めば良いさ」
仕方がないかと呟きながら桃太郎はピコハンをブォンとリーゴに突きつけた。
「ただしその道を歩むのなら、リンゴちゃんのだーいっきらいなオレと同じ道を歩むんだぜ?」
「!!!」
そういわれてリーゴはハッと気づく。
確かにこのままモモを殺したら、モモの仲間に憎まれる。
それは自分の両親を殺し、俺様に憎まれるモモと同じ事になる。
この憎たらしいモモと同じ道を歩むのだと!?
そんなの断じて断る!
ならば、俺様はどうすればいいのだ!?
「オレへの復讐で頭が一杯だったからか、そんな重大な事も考えてなかったか」
その言葉にリーゴは顔を真っ赤にし、何とか言い訳を探そうと頭を回転させる。
「そ、そうだ!モモよ!ならば何故俺様をこのような体質にさせたのだ!言え!答えろ!さもなくば殺す!」
「だいぶ混乱してきてるな、リンゴちゃん…。だからオレはお前をそんな体質にした覚えはないんだって」
「黙れ黙れ!こんなヘンテコな体質にできるのはお前しかいないっっ!お前の思考と趣味からしてそうだ!」
とても自分の意見を聞く気がないリーゴに桃太郎は頭をかきながら、なんとか理解してもらおうと思ったその時。
「あ、その体質ってワシらの頭のネウフォ様が考えた『殺デレ女体化大計画ウィルス』にかかったんでねぇの?」
「そういえばネウフォさまそんな事言ってたわねぇ」
ウンタラとカンタラが呑気に桃太郎達のところにやってきた。
それを聞いてリーゴはウンタラの首根っこを掴んで首を振り回す。
「どう言う意味だソレはぁぁぁぁぁあ!!」
「ああっ、ダーリンに何するのよ!」
カンタラがリーゴを止めようとするが、怒りのボルテージが最大に上がっていたリーゴを止められる者は英雄と讃えられるに違いない。
「そ、そりゃあワシ等タラ族は鬼の血とシトリーの血の混ざった鬼で、ワシ等の頭首ネウフォ様はシトリーそのものなんですわ」
気になる単語が出てきてリーゴはウンタラの首を離す。
「シトリー?なんだそれは」
「シトリーは、悪魔学によるとソロモン72柱の魔神の1柱で、60の軍団を支配し、序列12番の地獄の大貴公子である。
望みの男性または女性を愛させ、裸にさせたり、相手の秘密を暴く事ができるという。 豹の顔とグリフォンの翼を持った姿で描かれ、命令に応じて『美男子・美女』の姿をとるとされる。
別名にビトル、シュトリがある。
参考資料ウィキペディア」
リーゴの疑問に答えたのはウンタラでもカンタラでもなく、桃太郎だった。
「あら、よく知ってるわねそこの変態桃太郎さんは」
カンタラも思わず感心。
「変態だから、変態にとっての神に等しいシトリーを知らなきゃいけないだろう?フツーは」
いや、あなたにとってのフツーは変態にはありえないことです。
「悪魔を神と考えるなんて、変な桃太郎じゃのぉ…」
「つまり変態悪魔シトリーであるお前等の頭が、ふざけてそんなウィルスを作ったのか」
リーゴはウンタラとカンタラを睨み付け、セイバーを固く握り締める。
多分今のリーゴさんを顔文字にしたら間違いなくシャープマークが付いているに違いない。
「そ、そうだす。作ったけど完成がいまいちだったらしくてネウフォ様は人里までに出て田舎っぽいところで寝ていた男にそのウィルスを飲ませたそう…です」
「リンゴちゃん、気がかりな事は?」
桃太郎がピコハンをぽんぽんと肩に叩きながらリーゴに問う。
「確かにとある日に泥棒に入られたような気がするな…。その日からどんどん女性になっていったような気がする」
「盗まれたものは?」
「歯ブラシとか箸とかフォークとか俺様が口につけた物。あと、女性用の下着が置いてあった」
しばらく沈黙が続き、
「……流石ネウフォ様ね。尊敬するわ」
「ほ、本当だな。ワシも見習わなければ…」
「オレ、ネウフォって奴と友達…いや、師弟関係になりたい」
ウンタラとカンタラどころか桃太郎まで感服していた。
とりあえず桃太郎にツッコミビンタをかましておいた後、ウンタラに刃を突きつけるリーゴ。
「おい、そのネウフォって奴のところまで案内しろ」
「ひいいいいっ!でもネウフォ様は殺させんませぬから……!」
「殺すのは最後の選択のときだけだ。ウィルスを作った奴ならウィルスを駆除できる薬とかでも作れるだろう?」
リーゴがニヤリと悪魔のような笑みを浮かべたものだから、気の弱いウンタラはあっさり了承しましたとさ。


「オレもついていこうか?」
ウンタラとカンタラを引き連れて旅支度の準備が出来たリーゴに向かって桃太郎は言った。
リーゴは背を向け、ふっんと鼻を鳴らした。
「モモはモモのやるべきことをやれ。……俺様の代わりに鬼退治を頑張るとか、な」
桃太郎はやれやれとした表情を作ると、ピコハンをリーゴ向かって振り下ろした。
ガキンとセイバーではじかれる音がし、リーゴと桃太郎が顔をあわせた。
「やればできるじゃないか。大人数の戦いでも」
「フン。この鬼達は戦闘要員として含めていないからな」
二人は同時に後ろへと飛び、もう一度武器を構えながら走り出した。
先に口を開いたのは桃太郎だった。
「なぁ」
「なんだ?」
「全ての鬼が退治されたら、また遊ばね?」
「却下だ。『トモダチだから』という理由で俺様だけ生かした甘っちょろいモモと一緒にいたら、また気が狂ってお前を殺すかも知れないしな」
二人は空中に飛び上がり、次々と攻撃を、防御を繰り返しながら戦う。
しかし二人の表情は活気のある笑顔だ。
「後は任せた、モモ」
「ああ。またな」
そして二人は互いに空中で後ろに大きく飛んだ。
着地したと同時にリーゴはポカーンとしているウンタラとカンタラを罵倒しながら呼び、走り去っていった。
桃太郎も地に足をついたが、ぬかるんでいたため滑って大の字に倒れた。

空の雨はまるで自分が今までにつけた血を洗い流してくれるようだった。
瞳を閉じ、満足に微笑むと疲れで眠たくなってきた。
が、その眠気は聞きなれた足音で全てが吹き飛んでいった気がした。
そう。
全てが吹き飛んでしまえばよかったのに。



「よう、エロモモ。風邪引くぞ」
申丸はあの時のカッパを着たまま寝そべった桃太郎を見下ろしてた。
「いんや、ちょっとホームシックになりかけてた」
全然キャッチボールになってない会話だが、申丸は気にしない。
「いい加減起きろ。……起きていたくないのならそのままでも良いが」
そう言って申丸はしゃがみこんだ。
「うらやましいよ。お前には帰る場所があって…」
「何言ってるんだ。オレんとこおじいとおばあがうるさくて帰れねぇってんの」
「……そうか」
その申丸の返答は、どこか寂しげでどこか怒りがこもっていた。




その頃
「ねぇ、シャーイ」
「何ですか?僕と同じ事思ってるんですか?」
和双は自分の体にミサイルを無理やり詰め込みながら明崎ノ介に言った。
「シャーイと同じ事ってどうなのか分かんないネ」
「じゃあせーので言いましょうか」
「せーの」


「心配」


つづく



・ボツ
ぱーと1
「駄目です桃太郎さん!あの人と戦ってたら体が持ちませんっ!」

ぱーと2
「お前は、殺させなかったことが奇跡って言ってたが、そんなちゃっちい理由じゃない」
「じゃあ何だというのだ?同情か、哀れみか?」
「……リンゴをオレの嫁にしたかっただけだ」
「だから俺様を女にしたと」
「そういうことだ」
「それだけか?」
「あぁ」
「それだけの理由で俺様の親を殺し、俺様を女に仕立て上げたのか」
「あぁ、そうだ」
「お前っ……!お前だけは、絶対に許さんぞ!!」
「………」
↑これの裏を付けば「そんな幼い頃からモモは変態ではないので『俺のものにしたかった』とはありえない。モモはモモでリンゴに「友達だったから」という本音を恥ずかしくて言えないから皮肉になってしまった。

ぱーと3
「お前は、殺されなかったことが奇跡だって言ってたが、そんなちゃっちい理由じゃない」
「じゃあ何だというのだ?同情か、哀れみか?」
「殺せなかったんだと思うぜ。トモダチだったから…」

ぱーと4
気がつくと、桃太郎の手がリーゴの頭のアジサイのかんざしに触れていた。
「やっぱ似合わないな。男の状態で泣いてた方がかわいいや」
「それは俺様に対する侮辱か?斬り付けるぞ」
「え?じゃあお前は女の方が似合うって言われたいわけ?」
そう言われハッとするリーゴ。
コイツは男の状態の俺様の方がいいといった。
つまり女の俺様であることはコイツにとって嫌なのか?
それなのにどうして俺様を女にした?
やはりコイツは俺様を女にしたものではない?
「いや、お前以外に考えられない……」
「?」

ぱーと5
「やっぱりモモ、俺様は間違っていたのか?」
「オレは女より男のほうが好きなだけだ。」


ぱーと6(いれたかったNo.1)
申丸はフーッと大きく息を吸い、手を地と垂直に降ろした。
拳は瓦に当たり、ピシピシと割れていく。
46、47、48枚瓦が割れた。
しかしその下にはまだ12枚の瓦が残っている。
それを見て申丸は俯く。
「少しづつ、筋力が衰えてる……」


※DMC4ダンテみたいなノリで挑戦したい桃太郎選手

・なぜ☆なに?フトモモQ&A
「フトモモメンバーで一番強い奴」
猿<キジ<犬<桃って感じだと思います。
「戦闘向きだからな」って言っていた申丸君は怪力と言いつつも実際は人間なので、人間ではない残りの3人の方が怪力だと思います。
キジさんは人外ですが、子供の姿なので大して力は無いと思います。いや、申丸よりあるけど。
和双君は加速装置プラス指からレーザーで、ほぼ最強のような気がしますが、彼は争いを好まない性格な上に、戦闘経験がないので最強ではありません。
我らが桃太郎さんは戦闘経験もそこそこあり(多分)、謎の破壊力を持つインチキピコハンのお陰でお供を持つだけの実力があります。ただ、コイツも戦闘する気がまるで無いので駄目駄目ですね。

まぁ、結果的には「攻撃力がある奴ほど、戦闘しない」っていうオチになりました。自分でもビックリ。



・一発ネタ
「申丸バスターぁぁぁ!!」
「ぎゃあああああああ(べきごきぐき」


・一発ネタ2
鳴草が車の免許を取って、命がいくつでもある場合。
母「ほれみろ、やっぱ死んじまったに〜」
鳴「あはは、ごっめ〜んv」


・誤字ネタ
「ピコハン」が「ポコハン」になってしまった。
何かエロスwwwwwww
もしくはディス2(3)の魔法使い女思い出す。ポコーンッス♪


・何か思ったこと
きっとリーゴさんは1対1じゃないと駄目だから、仲間という存在に憧れているのかも知れない。
そんな暗い部分を持ってると萌えー(´∀`*)


・思ったこと2
オオカミさんみたいに、モモちゃんにも何か弱くて脆い所があったらええのに(´・ω・`)
いや、身体的じゃないよ?精神的にだよ?
それをフォローする仲間達……萌えるよ(*´ω`)


・思ったこと3
侑子さんみたいな魔女がほしい。
でもヴィズィタントたそがいるからいっか(´・ω・`)


桃「やらなくて後悔するよりも、やって後悔したほうがいいって言うよね。現場の独断で強硬に変革を進めちゃってもいいわよね?」
猿「……急に何だよ。遂に作者を殺したくなったか?」
桃「いや……。どうせ8月7日までに一万三千円お金が貯まらないのなら、もうこの六千円好きに使っちゃっていいかな?って思って」
猿「そんなどうでもいいことかよ!8月7日過ぎても使わずにして、貯まったら買えよ!」
桃「ヤダヤダ!予約特典欲しいんだい!」
猿「今の予約特典に期待するなっっっ!!(嘘だ!見たいな顔で」
桃「……」
猿「……」
桃「そうだよな…。今の予約特典、しょぼいものばっかりだしな。ありがとな、申丸。お陰で危うく商売の罠に引っかかる所だった……」
猿「で、何を買おうとしてたんだ?エロゲーだろうけど」
桃「いや、別にX箱のTOVを少々……」
猿「珍しく真面目なゲーム買うんだな。いや、ゲームはゲームだけど」
桃「……しまった!」
猿「TOV買ってもゲームやる所無いじゃん!!……って言いたいんだろ?」
桃「お前、作者みたいに先読みが上手くなったな」
猿「被害妄想が強くなったと言ってやれ。ところで、今回は何について語るんだ?」
桃「……最初に言っておく。前回紹介したラビリスはあれからやってない!!」
猿「飽きるの早ぇー!!」
桃「何か、急に敵が手強くなったらしいよ。オレ達のレベルも上がりにくくなったらしいし」
猿「オンラインゲームって皆そんな感じだよな」
桃「いや、別に作者が短気なだけだと思うけど」
猿「だよなー」
桃「で、その今回の話題は………どうしよ」
猿「まだ考えてなかったのかい!!」
桃「考えてたって言ったら考えてた事になるんだけど、オレ達の元ネタとかを語ろうかな?とか」
猿「……何でボツにしたんだ?」
桃「フトモモと五月のおまけページに作者がほぼ書いちゃったから、もうほぼ語ることないしな。って思って」
猿「そりゃごもっともだな。つかこれは月を基準に考えてるんだから、六月らしい事やれよ」
桃「六月か……父の日とかラタトスク発売日とか?」
猿「後者は駄目だろ、いろんな意味で。父の日なら考えられん事もないが」
桃「おっ、何をするんだ?」
猿「誠に遺憾ながらもお前を父に仕立てて、うっはっはさせてやるって言う……」
桃「それ決定。今すぐ実行しろ」
猿「言っとくが、おさわり禁止だからな」
桃「何処のバー!?」
というわけで
猿「おい変態オヤジ。今日は父の日だから菊の花贈ってやる」
桃「いきなりブラックすぎねぇ!?もっと可愛く『ぱぱー。肩たたきする?それともあたしと……ふふふ』とかしてくれよぉ」
猿「わかった」
仕切りなおし
猿「ぱぱー、まだ起きてる?」
桃「(夜設定か。ムフフ…)どうした、申丸」
猿「悪いね、こんな時間に。今日のこと謝っておこうと思って」
桃「今日のこと?あぁ、今から償えばいいのさ。にひひ」
猿「どうしても外せない用事があったから、ぱぱにおいしいご飯作ってあげられなくって、本当にゴメン」
桃「いいんだって〜(あれ?何かどこかで聞いた事ある場面だぞ」
猿「気にするよぉ。だってぱぱ、いつも俺のご飯楽しみにしてくれてるしね…」
桃「だから気にするなって。それより一緒に寝ない?」
猿「作り置きも考えたんだけど、ぱぱにはやっぱり作りたての料理食べてもらいたいし…。でも大丈夫。明日からはちゃんと作るから…。別にカミソリとか洗剤的なものは入ってないよ。本当だよ!」
桃「いや、華麗にスルーされたし。エロ本読んでていい?」
猿「どっちかっていうと……氏ね。いや、何でもないよ!何も言ってないよ、本当だよ!」
桃「さらっと死ねってストレートな。えーっと、ピンナップマグ最新号は…と」
猿「ああ、そうだ。お昼のお弁当はどうだった?いつもと味付けを変えてみたんだけど…」
桃「まあまあじゃね?つか最新号何処へやった、愛しの息子よ」
猿「そっか、食べたんだね…よかった…。勘付かれてたらどうしようと思ったけど、ちょっと安心した」
桃「あぁ、タミフルの味したよな。知ってた?タミフル飲んでも幻覚は見えないって。つか最新号何処へやった、マジで」
猿「気にしないでよ、家族なんだから。料理とか洗濯とか、俺の取り柄ってそれくらいしかないし。それにぱぱは、いつも俺の料理を苦しんで食べてくれるから俺だって頑張っちゃうよ」
桃「お前の料理は殺人的だからな。あ、先月号ならあった」
猿「ところでぱぱ。さっき洗濯して見つけたんだけど、このハンカチぱぱのじゃないよね。誰の?」
桃「多分和双の。これ先月号じゃなくて去年のだし」
猿「あ、これ和双さんのハンカチだね。臭いで分かったよ」
桃「いろんな意味で病んでるな。さっき言ったじゃん。あ、これ中二病臭い台詞」
猿「それで、どうしてぱぱが持ってるの?」
桃「鼻血拭いてた。ちと興奮して」
猿「…ふうん。たいしたこと無かったんだ。じゃああのハンカチについた血洗わなきゃよかったな。…血で血を洗うか、ククク」
桃「何こっから先のネタバレしてるの。オレ中二自重」
猿「なんでもないよ、ただの独り言だから。それより最近ぱぱ帰りが遅いよね」
桃「いやぁ、パチンコ行って嘔吐しようと思ったら自殺してた人がいてもう我慢できずにその場で出しちゃった。HAHAHA」
猿「リーゴさんの家?」
桃「えーっと。先月号のピンナップマグはアリア特集だったのか」
猿「知ってるよ。知ってる…。ぱぱと他人のクセして、俺が許してないのに殴りかかってるヒト……」
桃「嫌な設定だな、それ。うひょー、アリアたそ可愛いー」
猿「リーゴさんに殴られてたら、ぱぱを殴る特権しかない俺の出番が減るじゃないか、屑が」
桃「大丈夫か、お前。ちょっとはアリアたそ見習って自分から行動してみるといいぞ」
猿「ぱぱ、昔は俺の話を聞いてくれてたのに最近聞いてくれないよね……。一緒にご飯食べてくれないし鬼退治してくれないし人助けしてくれないし」
桃「痛いとこ二回も突かないで…。つかアリアたそ最近ソルと和解してきたんだよね。いい事ね?」
猿「そんなの全部無駄だってことどうして分からないのかな…?」
桃「アリアたその頑張りは全部無駄なの!?」
猿「いや、特に意味はないよ。ぱぱがそういうところで鈍いのは昔からだもんね…。わかってるよ。それより、晩御飯どうしたの?」
桃「外の吉野家でつゆだく食ってきた…。その後に秋田名物きりたんぽを…。いい挑戦だったと思う。反省はしている」
猿「そっか…外食してきたんだ。お金渡して置けばよかったな。それで、一人でご飯食べたの?」
桃「……おうよ(まだアリアのことでショックしている」
猿「ふうん。一人で食べてきたんだ……」
桃「……そう言ってるじゃん」
猿「そんな嘘俺に通用すると思ってるのか、このユーフラテス川!!」
桃「急に包丁持ち出して『ユーフラテス川』はないでしょ!せめてアマゾン川にしてよ!」
猿「ねぇ、どうしてそんな嘘つくのかなぱぱは。今までエロモモが俺についた嘘で通用したものってあった?この鈍器め。やっぱりリーゴさんとご飯食べてきたんだ、それは良かったね」
桃「それは良かったねで通用するかと思ってるのかこのナイル川ぁぁぁぁ!!」
ぴっちこーん(でこピン音
猿「はっ!お…俺は、一体?」
桃「しまった。つい面白いノリにしようとつっこんでみたのはいいけど、こっからがヤンでるシーン全開になるところだったのに!オレとした事がっっっ!!」
猿「な…何があったんだ、エロモモ?」
桃「いや、ちょっと夏の怪談っぽいことが起きてただけ。夏の怪談といえば、『本当にあった怖い話』だったか?アレの主題歌がホワイトベリーの夏祭りだったんだよな」
猿「ツッコミどころが多すぎる……」
桃「じゃあ久々にラビリスやりにいきますか。超勇者ハナだけレベルが桁違いなのが許せんが」
猿「???…」


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【2008/11/12 10:59】 | フトモモと六月 トラックバック(0) |
10月の26日がエロモモさんの誕生日だったので慌てて書いた小説。
それこそメルヘヴンみたいにスカッと読み終えちゃうほどの展開な上に、台本書きですがまあ気にしたら負けだ。

というわけでどうぞー。

犬「桃太郎さーん。誕生日おめでとうですー」
桃「んあ?もうちょっと寝させてくれ…。いま夢の中R指定中…」
犬「起きてくださいよー。……んもう。仕方が無いですね。折角今日だけ何でも言う事聞いてあげようとサルさんが覚悟していたのに」
桃「まじで!オキルオキル!」
猿「何勝手に俺の努力を無駄にしてるんだよ!」
犬「痛い痛い。わき腹殴らないで」
桃「努力って……、申丸。何か作ってるのか?」
猿「な、何でもねーよ!オラ、乾パン食ってろ!」
桃「何で非常食!?」
雉「モモタロー、モモタロー。ミーはこれプレゼントするネ」
犬「わぁ。灰だぁ!」
桃「……なんで他人の好きなもの贈ってるんだ、明崎ノ介」
雉「あれ?モモタローの好きな奴じゃなかったっけ、コレ」
桃「明崎ノ介」
雉「Why?」
桃「お前、今日だけ何でもオレの言う事聞くように」
雉「がびーん」
犬「いつもの事のような気もしますが……。ん?なんか焦げ臭いですね」
桃「まさか明崎ノ介。灰作るためにヒトんち燃やしたとか言わねぇよな」
雉「そんなことしないヨ!今からモモタロー達灰にしてやってもいいんだヨ!」
犬「まさかの逆ギレ…。何か調理場から焦げた臭いと共に赤い煙が発生してますね」
桃「赤い煙!?花火でもやってるのか?よし明崎ノ介、早速命令だ」
雉「最後まで言われなくてもわかってますよーだ。いてきまーす」
……数秒後
雉「大変ネ!ヤンキーが酸素不足で失神してるヨ!」
桃「やっぱりかー!」
犬「どうせそうだと思いましたけどねー!」

桃「つーか、失神してるなら早く連れて来ーい!」
犬「僕救急車呼んできます!フリーダイヤルー!」
雉「ミーはブレイブヴェスペリアのテーマ歌いながらテニスボール拾ってくるヨ!」
桃「ツッコミたくないよ!もうボケ倒しでいいよな!?」
とりあえず火事現場に向かう桃太郎。
桃「うわ、苺が焼き焦げてる!こっちは清涼飲料水がオーブンで温められてるぞ!地獄谷のようなお粥が!あ、いた申丸」
猿「う…ううー。サンドイッチ、うほっ☆キュウリ!……かくぅ」
桃「駄目だ重症だ。これって心肺蘇生法すべきか。誕生日プレゼントは口付けでおk!」
猿「止めを刺す気かー!」
桃「復活しただと!?しかもトドメって酷っ!」
猿「あれ?ってエロモモ!まだプレゼント作ってる最中だぞ!入ってくんな!」
桃「オレを食中毒で殺す為のプレゼントならいらねーよ!つか周り見て言え!」
猿「お粥が大噴火してるだと!?」
桃「とりあえず宿の人にゃ悪いけど脱出するぞ!」
………数秒後
犬「あっ、無事でしたか。放火魔と黒幕」
桃「オレはツッコミ専門じゃないんだ…。申丸がつっこむのを待つんだ、オレ!」
猿「桃太郎を美味しすぎてほっぺたとろけた上に全身溶けさせて骨にする予定だったんだが、火葬して骨にするところだった」
桃「現実に帰らせてくれー!」
雉「今日もステキな料理万歳!……あ。モモタロー、プレゼント」
 桃太郎はコンビニで売ってるバナナクレープをゲットした! ▼
 バナナクレープを装備しますか? はい いいえ キャンセル ×
桃「強制終了でお願いします!!」

お・し・ま・い!!

うん。微妙だ!!

○バナナクレープ
説明…名古屋弁で粉バナナとも言われる伝説のピコハン。時々ぴちぴち動く。イキがいい。
防御力+リンジュの視力分(0.03)


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【2008/10/31 09:27】 | 日記 トラックバック(0) |


珈琲姫
ここでしか見られないレアものだね!
おもしろかった♪

結局和双のプレゼントはなんだったんだろう?
気になる(笑)

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